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最終回では小中の連携について考えてみましょう。
1次的ことば・2次的ことば
小学校段階では1次的「話し(音声)ことば」の基礎作りが主な役割で、中学校で2次的(文字)ことばの本格的な指導に移って行く、と考えられます。すでに、第4回の音声指導で強調したように、チャンツや歌で英語のリズム感をしっかり養成し、その上で、音声(音韻)能力をつけることが小英の役割で、小英では主に、単語や短文の音読力をつけることに力点を置いた方がよろしいでしょう。(1次的、2次的ことばの発達と指導については岡本夏木著『ことばと発達』岩波新書289参照)
英語の習得過程
最近の脳科学の研究で、ことばの習得の初期では主に右脳が関わり、徐々に左脳に移って行くことが明らかにされています。前者はことばを全体的に、後者は分析的に捉えます。小学校段階では実際的な場面に密着した挨拶とか、基本的決まり文句(定型表現)などを中心に対話形式を使って教えます。中学校段階で、分析的能力や興味が出て来ますので、徐々に文の仕組みとか音声と文字の関係などについての認知的理解に導いて行き、いわゆる英語の「言語的意識」(linguistic awareness)を高め、自律的学習に導いて行きます。(左右脳の機能差とことばの習得過程については伊藤克敏著『ことばの習得と喪失―心理言語学への招待』勁草書房、参照)
小中の協力関係
小中の連絡を密にすることによって指導法や学習内容についての相互認識を深めることによって、小英から中英への移行がスムーズに行われるるよう配慮する必要があります。 (松川礼子・大下邦幸編著『小学校英語と中学校英語を結ぶー英語教育における小中連携』高陵社書店)
おわりに
以上、小英外国語活動の基本点について述べて来ました。小学校における英語教育開始年齢が5、6年生からで良いのか、については異論のあるところでしょう。
初期の英語学習に必要な歌やゲームによる単純な「繰り返し学習」に抵抗を感じない低学年からの英語学習開始が望まれます。
生活科や総合的学習の時間を活用して、5、6年生からの英語学習への足慣らしとしての「英語楽習」をお勧めします。
【2009年08月08日号】