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最新IT教育―実践、成果を報告―ICT|フィンランド教育 |
2011年から5、6年生に必須として導入される「外国語活動」に対する5つの留意点について私見を述べてみたい。
1)国際感覚の養成を
「外国語教育は世界へのもう一つの窓を与えることだ」とドイツの言語哲学者フンボルトは述べている。教師が英語を話す人々の社会習慣や歴史などについての認識を深め、学習者に英語話者の社会習慣や文化について話して上げることは英語学習への意欲を高めることになろう。そのために、海外研修や海外旅行は有益だ。かつて、英国での研修に参加した小学校の先生はロンドンの名所旧跡の写真やビデオを撮り、それを英語の授業に活用していた。
2)生徒の発達段階に応じた指導力の養成
知識を持っていることが、適切な指導に不可欠だ。いわゆる「9歳の壁」という発達上の境界が指摘されている。8歳までは単純なゲームや歌を中心にした指導が効果的であるが、9歳、つまり、4、5年生頃から「論理的志向」が強くなり、指導も其れに従って変更が必要になることを念頭にしたカリキュラムが必要だ。
3)日本語と英語の違いについて基本を知る
折に触れて、日本語と英語の音声や語彙、文構造の相違点、挨拶表現の違いなどについて触れることは両言語の違いや特徴に気付かせ、「ことば」に対する認識を深めることになる。(安藤貞雄著『英語の論理・日本語の論理』大修館書店参照)
4)小学校英語の役割は外国語(英語)教育の基礎創り
小学校英語に携わる先生方は外国語(英語)教育全体の現状についての認識を持ち、その基礎創りに小学校英語がどう関わって行くべきかについて考えてみよう。(河合忠仁ほか『日本の学校英語教育はどこへ行くの?』松柏社参照)
5)他教科の内容を教材に取り入れる工夫を
社会や理科などの教科内容を教材に取り入れることによって生徒の英語学習への関心を高めることができよう。神奈川県の小学校で、地方の特産物(りんごの産地など)や理科の実験結果(氷(ice)、解ける(melt)などの語彙を使っていた)を教材に取り入れ、生徒の興味を高めた授業を参観したことがあった。(カーテン/ペソーラ著伊藤克敏ほか訳『児童外国語教育ハンドブック』大修館書店7、8章参照
【2009年06月06日号】