牛乳を柱にした食育活動を行う(株)明治は、チョコレート(カカオ)に関する食育セミナープログラムを開発。自然の恵みへの感謝、食文化、国際協力の3つのプログラムが用意され、その一つ「チョコでなるほど!歴史タイムトラベル」の授業を、共同開発者でもある武庫川女子大学文学部教育学科専任講師の藤本勇二氏が加古川市立東神吉小学校(兵庫県・川元佳子校長)の6年生全2クラスに行った。同校は兵庫県の食育推進指定校として2年目の取組を進めている。
「チョコレート」漢字で書くとどんな漢字になる かグループで考えた |
漢字で「貯古齢糖」意味を考える食育
「チョコでなるほど!歴史タイムトラベル」は、小学4年生以上が対象で、チョコレートの歴史を通じて食べ物のルーツを知り、日本の食文化の成り立ちを学ぶことがねらい。特に、社会科と関連させることができる。
導入では、「チョコレート」が英語であることやその語源を紹介。続いて、チョコレート同様に西洋から日本に入ってきた食べ物が、昔は漢字でどのように書かれていたか、「麦酒」「加須貞羅」「牛酪」「珈琲」などを問いにし、食べ物と漢字の関連性を見いだす。
そこで本題の「チョコレート」を漢字でどのように書くのか、グループで話し合う。甘い、温かいと溶けやすい、色、形などを思い浮かべながら、「茶固冷豆」「甘苦豆」「貯濃冷糖」など、指導側も驚くアイデアがあがる。
正解は「貯古齢糖」で、保存がきく(貯)、古くから食されてきた(古)、栄養があり長生きできる(齢)、砂糖が入っていて甘くておいしい(糖)という意味がある。
試食で栄養を学ぶ
ここで、2種のチョコレートを試食し、後半の授業へつなげるが、パッケージを見て「ポリフェノールとは何ですか」という質問があがった。まさに後半のねらいで、チョコレートにはポリフェノール、ビタミン類、無機質(ミネラル類)、食物繊維などが含まれていることを学習。
後半は主原料であるカカオについて、人類が初めて口にした時代から日本に輸入されるまでを追った。紀元前2000年頃に初めて人類がカカオを口にしたが、当時はカカオ豆をすりつぶした飲み物。固形になり、一般的に食べられるようになったのは約150年前だ。「今のチョコレートになったのは、最近のことなんだね」と児童らも歴史を実感する。
日本へは明治4年に岩倉使節団がフランスのチョコレート工場を視察し、紹介された。授業では西洋化をもたらした文明開化で登場した他の食べ物(カレー、牛乳、あんぱん、牛鍋など)と共に紹介。
藤本氏は「食べ物にはたくさんの歴史があります。チョコレートを食べる時、今日学んだ歴史を思い出して下さい」と授業を終えた。
身近な食べ物で学習意欲が向上
児童からは「"貯古齢糖"と書くことに驚いた」「栄養価がこんなにあるとは知らなかった」「家で今日学んだことを話したい」などの声があがった。
同校の川元校長は「食育は教育課程では枠がないので、教科学習に組み込んでいますが、社会の歴史学習、国語の漢字学習につなげられると思いました。身近な食べ物を通して、文明開化等の歴史についてしっかり学べたように感じました。企業の方の協力で教材研究がしっかりでき内容が深まりました。子供たちは、外部講師による授業を新鮮に感じたようです」と話す。
明治チョコレート食育セミナー
A「発見!チョコレートのひみつ」=原料にカカオ作り・チョコレート製造の過程を学び、自然の恵みへの感謝の気持ちを育む(対象・小4以上、時間・45分)
B「チョコでなるほど!歴史タイムトラベル」=チョコレートの歴史を通じて、食べ物のルーツを知り、日本の食文化の成り立ちを学ぶ(対象・小4以上、時間・45分)
C「希望のチョコレート」=チョコレート作りの過程や生産者を支える仕組みを知り、国際協力について考える(対象・小6以上、時間・45分)
問い合わせ
03・5653・0458((株)明治 広報部ダイレクトコミュニケーショングループ「明治食育セミナー」)
【2015年7月20日号】
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