昭和21年12月24日に学校給食が開始されたことを記念して、毎年1月24日から30日を「学校給食週間」として全国の学校で様々な行事が行われている。文部科学省では1月26日から30日まで職員食堂で学校給食を提供し、旧庁舎内の情報ひろばにおいて「食育と学校給食展」を開催。初日となる26日には、スーパー食育スクール(SSS)として食育効果の検証に取り組む学校の中から、4事業の事例発表会が行われた。
今回事例発表を行ったのは、杉並区立三谷小学校(東京都)、東伊豆町立稲取中学校・県立稲取高等学校(静岡県)、高岡市立二塚小学校(富山県)、倉敷市立西阿知小学校(岡山県)。
発表に先立ち、文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課の大路正浩課長は「SSSは食育実践の取り組みの目玉。食事をきちんととることのメリットは実感しているが裏づけが少ない中、SSSを通じて少しでも裏づけとなるデータを得たい。4地域の発表を踏まえ、互いに学び合う機会としてほしい」とあいさつ。
三谷小学校は「学校・家庭での和食推進の取組みを通した社会性の向上と生活リズム改善」をテーマにSSSの検証を進めており、学校給食や生産者を通して和食の大切さ、国産食材の良さを理解させることを目標としている。
東伊豆町立稲取中学校・稲取高校は「食と健康についての意識を高め、実践力を身につける〜幼小中高・地域が一体となった食育の推進を目指して〜」をテーマに町全体で取り組み、幼稚園児から小中高生までが校種を越えて食育を学んでいる。
二塚小学校は「心身共に健康な児童の育成を目指した食に関する指導の充実」をテーマに活動。市内の小4と中1を対象とした小児生活習慣病の健診で「異常なし」の割合を60%以上とすることを目標に、家庭と連携した意識改革に取り組んでいるところだ。
西阿知小は「毎日朝食を食べる児童100%」「生活全般を振り返ることによる、健康的な生活習慣を形成」「食育は大切と思う保護者の増加」「子供と一緒に料理を作る保護者の増加」を事業の目標とし、「くらしき市版ヘルスジャッジ」を活用しながら取り組んでいる。
事例発表後、浜田有希食育調査官と江口陽子学校給食調査官より、講評が述べられた。
浜田調査官は、「高校の食育はどのようにできるかと、稲取高校が指定された。幼稚園からすべて見ていくというもので、成果があがりやすいのではないかと思う。高校生が幼稚園、小中学校へ教えることは、職業を決めるチャンスにもなる。連携で何が生まれたのかを示して欲しい。二塚小は実態と課題が明確で計画的にできており、学校が何を目標としているか共通理解が図られている。さらに効果的に進めるために、情報発信を充実してほしい」と述べた。
江口調査官からは、「今回の発表者が校長や一般の教諭だったこと自体が、学校全体で食育に取り組んでいる成果であり、嬉しく思う。三谷小は独自の和食を示しており、これも一つの方法。様々な体験活動を紹介してくれたが、今日聞いていた皆さんもこれなら自分たちでもできると思えたのではないか。先生達が参加し、継続し、計画し共有できる、この取り組みが有効であったことを三谷小から発信してほしい。西阿知小は課題解決を行政との連携で取り組んでいる。SSSの指定校が効果的であったことを共有し、数値化していくことが大事。それぞれの子供の実情に応じて課題は変わると思うので、ヘルスジャッジを活用していくことで再度研究していただきたい」と講評(各校の詳細は7面)。
文科省の職員食堂で提供された学校給食は、26日が山形県戸沢村立戸沢中学校(SSS実践校)の「さけのねぎみそ焼き」「芋煮」他、27日が福井県高浜町立青郷小学校(SSS実践校)、28日が東京都文京区立青柳小学校(第8回学校給食甲子園優勝校)、29日が佐賀県武雄市立若木小学校(SSS実践校)、30日が鹿児島県屋久島町立安房小学校(第8回学校給食甲子園特別賞)の献立。
【2015年2月16日号】
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