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連載 ICT支援員日記(5) 地域全体の教育力を向上

福岡県内 担当

ICT支援員 寺田 祐晋

「寺田さん、こういう電子黒板の使い方もあるんだね。面白いし、効果的だよ」ある中学校の理科室で、カメラを電子黒板につなぎ、実験の説明時に先生の手元をリアルタイムで大画面に提示する授業を行った後にいただいた感想です。担当するどの学校の先生方もICT支援員を頼ってくださっています。とはいえ、私の担当する自治体では、各校に月2日訪問という限られた日数となり、訪問時に全てのご要望に応えるのは難しい場合もあります。

私はサポート歴4年。思い返すと、最初のころは試行錯誤が続きました。「その作成物なら1コマで終わりますよ」と自らご提案した授業なのに、作成が盛り上がり、予定の時間内に終わらず日も暮れて真っ暗な中、自分で1枚ずつ印刷したこと。先生のご質問に対して即答出来ずに、「先生、宿題にさせていただいてよろしいでしょうか?」と後日お答えしたことなど、うまくいかない事も多くありました。しかし、このようなことを経験しながら、気がついたのです。個人で伸ばすスキルだけでなく、支援員同士のつながりで学んだノウハウが重要だということを。

所属のベネッセでは、月に1度、地区で研修会を行っています。普段別々の学校で活動しているICT支援員が集まって、学校現場で活用する最新のソフトやハードの活用体験、授業提案のワークショップやスキルアップ研修、教科や情報モラル指導についての事例共有、トラブル解決の情報交換、支援員通信の作成等を行っています。そして、皆が得意分野のスキルや体験談を持ち寄り、明日からのサポートにつなげます。

先日、ICT支援を始めて間もない仲間が「前回の定例会でやった授業支援のワークショップがきっかけで、こんなサポートができました!」と嬉しそうな顔で報告してきたことがありました。この時には、支援員同士が学び合い、提案力・サポート力を向上させることは、地区全体のICT活用のレベル向上や均質化にもつながるのではないかということを感じました。
ICT支援員として経験が長いことに越したことはないかもしれません。しかし、最近では個人の力量に頼るだけではなく、支援員同士が交流することで、より一層課題解決の力を高められると強く意識しています。ICT活用を切り口とした地域全体の教育力向上を支援できるように、支援員仲間のリード役としても邁進したいと思っています。

■ICT支援員日記

(1)先生が描く授業を実現する支援(2011年10月3日号)

(2)各校の事例から「好例」学び提案(2011年11月7日号)

(3)コンテンツ活用と授業の可能性(2011年12月5日号)

(4)「主体的な学び」と「学びあい」を実現(2012年1月1日号)

(5)地域全体の教育力を向上(2012年2月6日号)

(最終回) ICT支援員の役割とは?(2012年3月5日号)

【2012年2月6日号】

 

 

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