小学6年生と中学1年生の算数(数学)の単元『線対称と点対称』で、先生から「子どもたちに実際に動く図形をテレビに映して見せたい」という要望を受けました。コンテンツを探したのですが、要望に沿うものが見つからず、プレゼンテーションソフトのアニメーション効果を使ったコンテンツを私が準備することになりました。実際に作ってみると、点対称の動きは簡単に作れますが、本を開閉するような線対称の動きを作るには、少しずつ大きさを変えた図形をコマ送りするように動かさねばならず、時間と労力を要しました。自作教材は普段から忙しい先生が用意するのは困難があるようにも思いました。
実際の授業では、先生の使い方の工夫もあり、子どもたちの理解が深まったという声をいただきました。その一方、動きや仕掛けのある既製のコンテンツを使うのも一つの手だと思いました。既製のコンテンツを使うことによって、(1)教材作成の時間の短縮(その分、教材研究や授業設計に集中できる)、(2)イメージさせにくい事象を具体的に見せることができる、(3)簡単に何度も使うことができる、などのメリットがあり、大型テレビなどに映すことによって子どもたちは視覚的に捉えられると共に、クラス全体での共通理解を促すことにもつながるなどの効果があると感じます。
別の事例として、小学2年生がPC室で「ワンダの予定表」という既製コンテンツを使い、自分のペースで時刻と時計の読み方を学習する際の支援をしたことがありました。教科書や時計の文字盤だけでは読み方を理解できなかった子どもも、仕掛けのあるコンテンツを自分のペースで繰り返し操作することで自然と時間の進み方と時計の動きの関係を理解していくことができたようです。自作教材では用意しにくいコンテンツを使用することで、小学2年生という年齢でも自ら進んで学ぶことができる。一方で先生はつまずきがちな子どものフォローに重点を置くことができる。その結果、単元終了時の子どもたちの理解度は概ね均等になっており、先生も子どもたちも大変満足という嬉しい言葉をいただけました。
現在、全国の小中学校にはPC室以外に、普通教室にもICT機器が整備されてきています。それらを駆使して分かりやすい授業を展開するにはコンテンツの利用がキーになるように感じます。
■ICT支援員日記
(1)先生が描く授業を実現する支援(2011年10月3日号)
(2)各校の事例から「好例」学び提案(2011年11月7日号)
(3)コンテンツ活用と授業の可能性(2011年12月5日号)
(4)「主体的な学び」と「学びあい」を実現(2012年1月1日号)
(最終回) ICT支援員の役割とは?(2012年3月5日号)
【2011年12月5日号】
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