私立公立高等学校IT活用セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

アクティブ・ラーニングは教科「情報」と高い親和性 東京都立町田高等学校・小原格指導教諭

問題の発見・解決をどう学ばせるか

東京都立町田高等学校・小原格指導教諭
東京都立町田
高等学校
小原格指導教諭

都立高等学校には、3か年計画で平成26年度までにタブレットPCが各校に10〜40台、傾斜配備されており、すべての普通教室にプロジェクターを固定設置。書画カメラも配備済だ。これに伴い都立町田高等学校では平成27年度にクラス用タブレット43台とともに移動・充電用カート3台(無線LANAP付)、書画カメラ6台が設置されている。

小原教諭はその環境を活用して教科「情報」でアクティブ・ラーニング(以下、A・L)を実践している。「教科『情報』はもともと実習が強く意識された教科で、A・Lとの親和性が高い」と語る。

「情報」は、情報活用の実践力、情報の科学的な理解、情報社会に参画する態度を学ぶ教科で、平成25年からは「社会と情報」「情報の科学」に再編。次期学習指導要領では、全員が共通履修する「情報T(仮称)」に一本化され、さらに発展的な科目「情報U」が設置される方向だ。

1学期に素地を育む

同校では1学期に、中学校の復習として、メディアとコミュニケーションネットワークのしくみ、情報セキュリティと段階的に学んでいく。

授業アイデアを構築する際にはカリキュラム・マネジメントを意識しており、問題発見・分析ができるように作業をモデル化、シミュレーションも行う。シミュレーションは大きく3つある。「状態」、「作業の流れ」、PCを使った本格的な「数的」シミュレーションだ。

グループ学習は、無理なく「話し合い」ができるように、最初はペアワークから始めて、グループワークに移行。段階的に授業をマネジメントし、グループリーダーも全員に体験させている。

「絶対に他のチームに相談しない・話しかけない」などのルール順守も徹底。その上で、バックグラウンドとなる知識・技能、あるいは問題の捉え方や分析の方法などの基礎的な技術的要素をしっかりと学ばせるようにしている。

問題解決学習でA・L

2学期には、1グループ4人で行う問題解決学習を行った。内容はアンケート実習で、そのデータを用いたA・Lにつなげる。課題は「クラスの情報モラルを高めるためにはどうすればいいのか」。各グループでアンケート結果を裏付けとし、提案をまとめ、発表する。さらに、問題解決と処理手順を自動化するプログラミングを実践した。

反転授業も試みた。コンピュータでの情報データの処理を、事前に映像を使って各自で学んだ上で、教室で実践するというものだ。

反転授業で成績アップ

「生徒はYouTubeなどのメディアに慣れており、反転授業にしてから平均点が大幅に上がった」と語る。

3学期は「情報通信ネットワークと問題解決」で13時間以上の総合実習を実践。発表と個人レポートを重視した。解決のための提案を必須とし、相手の立場に立ったわかりやすい情報発信を求めた。

「総合実践」でA・L

問題発見、明確化、ブレーンストーミングをさせて評価するという典型的な進め方を指導し、「プレ発表」ではPDCAサイクルを意識させ他のグループや教員の意見を参考に、改善の機会を設けた。

学校外に聞き取りに行く時のツールも用意。

中学校、企業、お店などに行けるように、依頼書などのフォーマットなどを用意して、協力依頼方法も同時に学ばせている。昨年の事後アンケートでは、「サブテーマが見つからない、決まらない」「解決策がわからない」が一番困ったこととして挙がった。

「最終的な目的達成のためには何をすればいいのかについて、明確にしてから進めることができるように、前段階で、問題を発見・解決するということはどんなことなのかについて学ばせている」と、小原教諭は語る。総合実習は、「理想」と「現実」を明確にして「問題」を発見するという経験であり「この手法としてA・Lは最適。教員はそのサポートである」と述べた。

【講師】東京都立町田高等学校 小原格指導教諭

 

【私立公立高等学校IT活用セミナー・東京:2016年7月25日】

【2016年9月5日】

1、神奈川県立横須賀大津高等学校・島武彦総括教諭2、桜丘中学・高等学校 本田和義教諭
3、豊島岡女子学園中学校・高等学校 中嶋淳教諭/4、東京都立町田高等学校・小原格指導教諭
5、和光中学高等学校・小池則行教諭

 

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