私立公立高等学校IT活用セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

ICTで、課題発見 解決力を育成する 神奈川県立横須賀大津高等学校・島武彦総括教諭

全教科でICT活用を推進

神奈川県立横須賀大津高等学校・島武彦総括教諭
神奈川県立横須賀
大津高等学校
島武彦総括教諭

明治39年創立の神奈川県立横須賀大津高等学校は現在、神奈川県のICT利活用授業研究推進校だ。同校は平成25年度からの3年間の取組に続き、今年度より新たな研究に着手している。

平成25年度は、各教科指導においてネットワークに依存しない環境でのICT利活用を推進。協働学習用教材を工夫した。例えば、直観的にアイデアをダイアグラム化できるアプリ「Grafio」で化学式の視覚的理解を促し、授業支援アプリ「ロイロノート」で英語整序問題の作成や協働学習を推進した。

平成26年度は、ICT活用による思考力・判断力・表現力の育成に着手。無線LAN環境の検証として、ICT授業専用教室を設置。様々な可能性を追究し、授業外においても活用した。

平成27年度からは、主体的な課題発見・解決能力の育成に着手。iPad41台、ハイブリッドPC9台、無線AP3台の環境でアクティブ・ラーニングに取り組んだ。
校務の情報化に向けてMicrosoft Office365も試行。

今年度から神奈川県では、Google Apps for Education(GAFE)、SharePoint Onlineによる学校ごとのポータルサイトの立ち上げが可能であり、職員間の連絡事項や行事後のアンケート結果などを共有できる環境にある。

協働学習と家庭学習融合

同校では昨年度9月から、GAFEを導入。「協働学習と家庭学習の連携」、「即時回答、情報共有・可視化」、「作業時間削減による授業時間の確保」を目標にクラウドによるデータ共有を促進し、多くの教科で活用している。

英語科ではグループプレゼンテーションの原稿作成に利用。クラウドにより校外でも作成ができるようになり、協働学習と家庭学習の連携を進めている。島総括教諭は、「普段スマートフォンを使っている生徒たちはタブレットをスムーズに利用できている」と語る。

こうした取組を重ね、生徒対象に授業評価アンケート調査を行ったところ、「授業の充実感」や「生徒主体の授業の工夫」の項目において、ほとんどの教科で前年度よりもよい結果が示された。課題となるのは大量のiPadへのアプリのインストール、iOS更新とアプリのアップデートなど管理面だ。

今年度の校内授業研究では、全教科でICTの効果的な利活用を計画し、実践、評価、改善を図る。また、ICTを活用したアクティブ・ラーニング、反転学習などの指導方法や教材等の研究をさらに進める予定だ。
現在、神奈川県教育委員会とClassi、リクルートマーケティングパートナーズとの共同研究にも着手。同校でも後期より検証が始まる。

島総括教諭は、「ICTの利活用によって、教員の授業改善の機運がさらに高まってきた」と話す。今後は、家庭学習においてもICTの利活用の可能性を探り、生徒の主体的な学びを促進する。「まだまだ途上の段階で、教員の中でも温度差はあるが、生徒はうまく使いこなす。生徒の学習活動の支援としての活用に今後も取り組んでいく」と語った。

【講師】神奈川県立横須賀大津高等学校・島武彦総括教諭

 

【私立公立高等学校IT活用セミナー・東京:2016年7月25日】

【2016年9月5日】

1、神奈川県立横須賀大津高等学校・島武彦総括教諭/2、桜丘中学・高等学校 本田和義教諭
3、豊島岡女子学園中学校・高等学校 中嶋淳教諭4、東京都立町田高等学校・小原格指導教諭
5、和光中学高等学校・小池則行教諭

 

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