教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化
私立公立高等学校IT活用セミナーを7月25日東京で、第32回教育委員会対象セミナーを7月28日に京都を開催した。教育におけるICT機器の整備と活用促進に向けて、整備計画や好事例となる発表がされた。次回は10月28日に第34回教育委員会対象セミナーを新梅田研修センターで開催する。
今年度のセミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
姫路市教育委員会 柳井克文係長 |
姫路市では人口53万人維持のまちづくりにつながる方策の1つとして学校教育の環境整備を進めており、平成26年度末には姫路市教育振興基本計画を策定して、段階的に取り組んでいる。
平成24年度には各校の校務用サーバを廃止しセンターサーバ化するとともに、校務用PC約2700台を更新。平成25年度は校務支援システムを推進校で、平成26年度には全小中学校で運用を開始した。全ての学校から使えるように外字サーバも導入。現在、校務支援システム本格運用3年目を迎えている。
導入のきっかけは課題解決に向けた協議から
校務支援システム導入検討のきっかけは、中学校での共通の成績処理システム整備の必要性や小学校の通知表作成に係る改善の動きなどが校務用PC更新時の課題解決の協議に上がったこと。そこで、校務系システムの更新において校務支援システムの導入についても検討を行った。
導入システムなどは、プロポーザル提案で決定した。
教育委員会内に推進チームを設置するとともに、指定校(小学校4校、中学校2校)と希望する学校に機能を提供して課題の洗い出し・検証を行い、全校運用につなげた。
教育の情報化の推進に向け、支援体制も順次強化した。
現在、総合教育センターのICT係の指導主事3名と行政職2名が連携し推進している。ICTヘルプデスクは常駐の3名が不具合等に対応。システム運用支援のSEも常駐している。さらに今年度はICT支援員12名の配置が決定し、学校ホームページや授業支援を強化する考えだ。
月1回の校務系システム導入業者とのミーティングでは、運用上の課題を共有し、早期に解決を図る。通知表作成、指導要録作成などの時期に合わせた来所型相談会のほか、第2・第4金曜日は「ICTなんでも相談」を開設し、15時〜20時まで各種相談を受け付けている。
各学校間や教育委員会との連絡はグループウェアを活用。掲示板の活用で朝の職員朝会をなくした学校もある。
85%が導入効果を実感
小中一貫教育推進に向け、中学校ブロックごとの共有フォルダによる行事情報などの情報共有も進めている。内部ポータルサイトには、様式集や各種マニュアルもアップ、共有化を図っている。
校務支援システム導入後のアンケートでは85%の教員が、導入により負担軽減効果があったと回答。指導要録の電子化では、65%の教員が負担が軽減したと回答している。通知表作成でも1人あたり20分弱、1クラスで約9時間の時間削減効果があった。教員からは「印刷担当など役割分担することで仕事のやり方が変わった」「学期末の時間に余裕ができた」などの声が出ており、今後実施予定のアンケート結果では効果を感じる教員がさらに増えているはずと予想している。
課題はネットワークの遅延や印刷物の増加など。これらの課題解決に向け、今後も様々な取組を進めていく予定である。
【講師】姫路市教育委員会・姫路市立総合教育センター教育研修課・研修企画・ICT係・柳井克文氏
【第32回教育委員会対象セミナー・京都:2016年7月28日】
【2016年9月5日】
1、京都教育大学・谷口和成准教授/2、郡山市教育委員会・渡辺哲雄指導主事
3、姫路市教育委員会・柳井克文係長/4、立命館守山中学・高等学校 犬飼龍馬教諭
5、京都市立梅小路小学校・吉井優太郎教諭 /6、奈良女子大学附属中等教育学校・二田貴広教諭
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