1月25日に第37回教育委員会対象セミナーを福岡・天神クリスタルビルで、2月8日に第38回教育委員会対象セミナーを名古屋・名古屋国際センターで開催した。次回、第39回教育委員会対象セミナーは、3月29日に岡山・岡山コンベンションセンターで開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
豊田市教育委員会 教育センター 緒方秀充指導主事 |
豊田市教育委員会は、教育の質の改善と教員のゆとり確保に向けて、現在通知表や指導要録、体力テスト、保健システム、教員研修など様々な場面で活用。「校務システムを活用することで、確実に効率化が図られた」と語る。
豊田市内の公立小学校では、出勤してPCを起動すると、トップページに「出席簿」「いいとこみつけ」「共有フォルダ」「提出フォルダ」「e―ラーニング」「POTETO」などのアイコンが並ぶ。平成22年度から導入した校務システムは「EDUCOMマネージャーC4th」。通知表から指導要録への転記も簡単に行え効率がアップした。
個人連絡や連絡掲示板も、学校の評価が高い機能だ。
「いいとこみつけ」は、評価の質の向上という点で活用が進んでいる。教員が子供の良いところを見つけると、すぐに記録。データ上で情報共有ができ、指導に活かしやすくなった。「このデータが、各校が積極的に行っている学校賞の賞状に転記できればさらに効率化につながる」と語る。
共有フォルダには教員全員で共有できる文書データなどを保存。教育委員会からの調査・アンケートなどは提出フォルダでやりとりする。
平成25年度末から運用している教材データベース「POTETO」には、デジタル教材や授業の動画などを保存。キーワード検索で必要な教材を見つけることができる。
学校HPは、「スクールwebアシスト」を導入。同市はセキュリティポリシーで校務システムが他のインターネット回線から独立しており、学校HPを校務用PCから確認できないが、この点が改善されれば、学校経営により一層活用できると話す。
導入目的の1つが「教員のゆとり確保」だ。校務システムに慣れることで作業効率が上がり、負担が軽減された。一方で、校務システムに慣れてくると、システム上で取り扱う文書が増え、結果的に作業時間は変わらないという課題が生まれた。
そこで、平成29年度から関係諸機関から学校に送られる大量の文書を減らす取組に着手する。受理を必要とする文書は、従来通りに紙ベースや校務システムで発送。受理を必要としない軽微な周知などは教育委員会がリスト化して「リスト」フォルダをクリックすれば見られるようにする。
平成26年に作成した「豊田市教員人材育成プラン」は、学校の組織力・経営力を向上し、教員の育成指標を明確にしたもの。幅広い社会性、専門性・将来性、組織マネジメント力、コーディネート力を、育成する。愛知県で最も面積が広い豊田市では、遠方の学校からの受講は時間的に負担が大きい。そこで平成27年度から一部の研修を校務システムからe―ラーニングで受講できるようにした。
さらに今年4月からは教職員データベースの運用を予定している。
これは4年程前から構想していたもので、教員がこれまでに受けてきた研修履歴の見える化を図る。教員は受講した研修内容を確認でき、管理職は教員の振り返りを閲覧して指導にあたることができるようにしたい考えだ。今後は、特に校務システムを授業支援と研修支援に活用することで人材育成につなげたいと語った。
【講師】豊田市教育委員会 教育センター・緒方秀充指導主事
【第38回教育委員会対象セミナー・名古屋:2017年2月8日】