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教育ICT

JAET愛知・春日井市大会で日常的なクラウド活用を見る 資質能力の育成 正解は1つではない JAET会長・高橋純教授(東京学芸大学)

2022年10月4日

日本教育工学協会(JAET)は、第48回 全日本教育工学研究協議会全国大会 愛知・春日井大会「GIGAスクール環境の日常的な活用で実現する令和の学び」を2022年10月28・29日、春日井市内で開催する。リアルで開催されるのは川崎大会以来3年ぶり。今年度よりJAET会長に就任した高橋純教授(東京学芸大学)に、本大会の見どころを聞いた。本大会一部のプログラム(※)は当日申込も可能。愛知県教育関係者・学生は資料代無料で参加できる(※公開授業・ワークショップは事前登録が必要。全体会、研究発表は当日登録で参加可)。なお2月のプレ大会(オンライン)はKKSWebに掲載(https://www.kknews.co.jp/post_ict/20220307_4a)。次年度の第49回大会は青森県で開催し、プレ大会は2023年2月4日に行う予定。▼主催=日本教育工学協会(JAET) ▼共催=春日井市教育委員会、春日井教育工学研究会、(一社)日本教育情報化振興会(JAPET&CEC) ▼後援=文部科学省、国立研究開発法人科学技術振興機構、公益財団法人パナソニック教育財団ほか


JAET会長 高橋純 教授

JAET会長 高橋純 教授

■約9割の学校・教員が 「毎日端末を活用」

月末時点で1400人以上の参加申込者があり、ハイペースで参加申込が集まっています。

本大会会場となる春日井市は1998年から校務の情報化に取り組んでおり、大型提示装置や実物投影機の活用など文科省方針に則り地道に進めてきた地域です。そんな土台のある学校が、情報端末の11台配備をきっかけに、クラウド活用を前提とした協働学習をどのように進め、ツールがどう学びに良い影響を与え活性化していくのかを具体的に見ることができます。

本大会に向けて授業公開校の6(小学校3校・中学校3)は、1年以上前からJAET役員による支援を受け、授業改革に取り組んできました。JAETはパナソニック教育財団より支援を受けており、会場校への講師派遣等もその支援によるものです。

■資質能力の育成 正解は1つではない

昨年9月、春日井市内小中学校5校の児童生徒1110人、教員89人を対象に行った調査によると、いずれも約9割が「端末を毎日使っている」と回答しています。端末配備は同年4月頃からです。整備後半年程度で約9割が「毎日使っている」のです。

春日井市の学校の授業を見ていると、新しい授業アイデアや発想が次々と出ており、協働的な学びもスピード感をもって進んでいることがわかります。

特筆すべきは、教育委員会においても学校においても「規制が少ない」点です。教員や子供から出た新しいアプローチや発想を、誰かに止められたという話をほとんど聞きません。「新しい発想を止めない」ことは個性の重視につながります。これは「資質能力の育成」に深く関わるものです。

なぜなら資質能力はその人の一生に関わるものであり、ハウツーのみで育成できるものではなく、様々な創意工夫や個性が深く関わるからです。創意工夫や個性発揮のためには、教員や児童生徒1人ひとりの思いを邪魔しないこと、即ち規制をしすぎないことが重要になります。

児童生徒はグループチャットも活用しています。本市はすべてGoogleWorkspace上で管理しており、チャットもすべて履歴が残ることを理解した上で安心して活用しており、この新しい仕組みがなければ展開できない授業スタイルとなっています。

これらの新しい学びのスタンダートを全校に広げるべきであるとして、公開授業校でもある高森台中学校と出川小学校は2022年度より文部科学省研究開発学校の指定を受けています。次の学習指導要領の準備が、既に始まっているのです。

本公開授業では、資質能力育成に関するそれぞれの教員や児童生徒の創意工夫や次の学習指導要領が目指す学びの一端を見ることができるでしょう。

■学校情報化先進校を表彰

初日の公開授業後は、学校情報化先進校の表彰と基調講演、シンポジウムが開催されます。

20151月にスタートした「学校情報化認定」は、教科指導におけるICT活用、情報教育、校務の情報化に積極的に取り組んでいる学校を認定するもので、20223月末の段階で、認定した学校情報化優良校は1676校となりました。

また、同様に、学校情報化先進校に33校、学校情報化先進地域に18地域が表彰・認定されています。2018年度からは新システムに移行し、新学習指導要領に対応した新たな学校情報化チェックリストによる運用を行っています。

本大会では、2022年度学校情報化先進校及び先進地域を表彰します。

基調講演では堀田龍也教授(東北大学大学院)が「これからの学びに対応する情報活用能力の育成」をテーマに講演。

また、シンポジウムでは授業公開校のアドバイザーが、これまでの成果を総括します。

■研究発表~クラウド活用で多様な切り口

2日目の研究発表はICT活用に関する研究発表が約130本発表されます。久々にコロナ禍以前に迫る発表数となりました。

チャットを活用した児童の変容や協働編集によるメタ認知、アクセスログによる変容の分析ほか、GIGA端末活用ではこんな切り口があるのか、と思うものがたくさんあります。

本大会では、会員ではなくても発表が可能なこともあり、様々な地区で新しいアイデアが生まれています。リアル発表が多いのですが、オンラインによる発表もあります。春日井市の教員もクラウド活用に関する研究を発表します。授業公開では見えにくい成果や授業公開校以外の活用を共有することができます。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年10月3日号掲載

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