10月17日に第43回教育委員会対象セミナーを大阪・CIVI研修センターで、11月2日に第44回教育委員会対象セミナーを札幌コンベンションセンターで開催した。大阪で開催された講演内容を紹介する。次回、第45回教育委員会対象セミナーは、12月6日に東京・KFCホールで開催する。
淡路市立一宮中学校・田渕一行教諭 |
淡路市では「タブレット活用推進事業」で、今年9月から小学校4・5・6年生に1人1台の情報端末を配備、来年9月からすべての中学校に1人1台配備される予定だ。
淡路市立一宮中学校は生徒数約200人。各学年2クラス程度の規模だ。
兵庫県教育委員会「ICT利活用による教育の質の向上事業」指定を受けて3年目で、昨年9月から1人1台の情報端末が配備されている。英語科の田渕教諭はモデル校としての実践について報告した。
個別学習と協働学習を共存する授業をするようになったきっかけは3点ある。生徒の習熟レベルに合った英語教材の提供や、理解のアシストをテクノロジーで支援したかったこと。
次が、コミュニケーション能力の育成だ。
英語はコミュニケーションが重要な要素であり、学習したことをアウトプットすることで、「生きて働く知識」になる。
3つめは、協働学習の展開だ。協働学習は学校でしかできない学習である。さらに「いかに子供たちが主体的に取り組めるか」を考えている。
田渕教諭は自身の英語授業の実践例を紹介。授業の流れに沿って、導入、展開、振り返りと家庭学習について説明した。
導入では、生徒1人1台のiPadによる個別学習で、各自が音読やタイピングを練習。その後、自己紹介や会話などを生徒同士で行う。「日本語交じりでいいからどんどん表現しよう」と、毎回の授業で行っている。話した内容については相互に評価する。
音読やディスカッションでは、資料配信などができるiOSアプリ「iTunesU」を使う。ペーパーレスで時間短縮になり、授業の進展が早くなり、生徒の活動時間が増える。
評価では、アンケートなどができるアプリ「Google forms」を使っている。集計結果をグラフで見られるので、「今日の授業は話す量が足りなかった」など生徒も教員も授業で不足していた点を確認できる。
ここまでを最初の約15分で行う。次は展開だ。
授業では、板書の内容を全て各生徒のiPadに送信。思考を働かせるため、少人数で対話をさせながらノートにまとめている。
発音練習は、iOSアプリ「イングリッシュワードウィザード」を活用。アルファベットを選んで単語を作ると、タブレットが発音するツールだ。
iPadのメモを使い英語音声入力で単語を発声すると、画面にスペルが表示される。発音が悪ければ、正しく表示されない。生徒は主体的に何回も練習するようになった。
クイズやフラッシュカードを自動生成できるオンラインアプリ「クイズレット」も使う。「cat」と書かれたカードを選んでからネコの描かれたカードを選ぶとカードが消え、新しいカードが現れるといったように、ゲーム感覚で単語を覚えられる。また、アプリの機能を使い3人組のチーム戦で最終チェック。会話が生まれ、複数で勉強できる。
文法の説明は、田渕氏が制作に関わった教材「中学英語動画英文法」を使用。「iTunesU」のクラウドで置かれており、生徒は、自分のペースで学習ができる。
最後の10分間は振り返りと個別学習だ。英語に関することであれば何を勉強してもいい。持ち帰りはしていないが、ホームページを作成し家庭学習で活用できるように工夫している。
【講師】淡路市立一宮中学校・田渕一行教諭
【第43回教育委員会対象セミナー・大阪:2017年10月17日】