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教育ICT

社会と繋がる課題設定 主体的学びを引き出す 竹原市立吉名中学校 若本綾子教諭

2017年5月8日
第39回教育委員会対象セミナー・岡山

3月29日に第39回教育委員会対象セミナーを岡山・岡山コンベンションセンターで開催した。当日は約80名の参加者が、ICTの整備や活用方法の講演に熱心に耳を傾けた。29年度の教育委員会対象セミナーは、7月4日の東京・KFCホールから、京都、岡山、大阪、札幌、岡山、名古屋、金沢で開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ

ICEの3段階で生徒の学びを評価

竹原市立吉名中学校・若本綾子教諭
竹原市立吉名中学校
若本綾子教諭

竹原市立吉名中学校(広島県)は平成30年度、吉名小学校と統合し義務教育学校「吉名学園」になる。現在情報端末25台、電子黒板3台を整備済みでICT支援員のサポートを週1回程度受けながら活用を定着させた。平成28~29年度は広島県「学びの変革パイロット校事業」の実践指定校として主体的な学びを促す「課題発見・解決学習」を実践。黒上晴夫教授(関西大学)の助言を受けながら、シンキングツールとポートフォリオによる主体的な学びを育成する取組を進めている。

ここで中心に取り組んでいるのが「ICEモデル」をもとにした授業・単元の研究だ。これは、生徒の学びを①考えや基礎知識の習得(Ideas)、②他教科や実社会との関係性の理解(Connections)、③知識を応用して多様な場面で活用する(Extension)の3段階で捉えた評価モデルだ。これにより教科ごとの知識や学びを定着、発展させる。

生徒の学びをICEの3段階で示すポートフォリオ表を生徒と共有して学習目標の明確化、授業1コマごとの振り返りなどを行う。シンキングツールは、ベン図(比較)、イメージマップ(関連付け)、PMIシート(評価)などを授業の目的に応じて使い分け、生徒の思考を可視化、情報を整理・分析している。

社会科の授業では、竹原市でごみ袋が有料化されることについて、その経緯や理由をグループごとに調査し、クラス全体で意見を共有。他グループの発表を踏まえた意見をPMIシートに記入し、ごみ問題についての対応策をテーマにしたPR動画を制作。活動の最後は、ポートフォリオ表にまとめて振り返った。

PR動画は市役所まちづくり推進課の担当者に評価、補足してもらい、問題と対策について理解を深めた。「実社会と繋がった課題を設定し、情報端末、シンキングツール、ポートフォリオなどを活用して課題解決に取り組んだことで生徒の主体的な学びに繋がった」と話す。授業の事前事後では表現力、課題解決力、コミュニケーション力、主体性、柔軟性などほとんどの項目において向上が見られた。「『ICTを使った授業が楽しみだ。よくわかる』と生徒は評価しており、その有用性を教員も感じている。今後も実社会との繋がりを意識した学びを提供していきたい」と話した。

【講師】竹原市立吉名中学校・若本綾子教諭

 

【第39回教育委員会対象セミナー・岡山:2017年3月29日

  1. 備前市教育委員会 杉浦俊太郎教育長
  2. 倉敷情報学習センター 尾島正敏館長
  3. 岡山市立旭竜小学校 延堂雅弘校長
  4. 三好市立下名小学校 中川斉史教頭
  5. 竹原市立吉名中学校 若本綾子教諭
  6. 岡山中学校・岡山高等学校 明樂晃主幹教諭
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