3月29日に第39回教育委員会対象セミナーを岡山・岡山コンベンションセンターで開催した。当日は約80名の参加者が、ICTの整備や活用方法の講演に熱心に耳を傾けた。29年度の教育委員会対象セミナーは、7月4日の東京・KFCホールから、京都、岡山、大阪、札幌、岡山、名古屋、金沢で開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
岡山中学校・ 岡山高等学校 明樂晃主幹教諭 |
中高一貫校である岡山中学校・岡山高等学校は中学校も高校同様に50分授業のため、中学生は50分間授業に集中することが難しかった。そこで黒板上部にプロジェクターを配備し、全教員に情報端末(iPad)を配備。生徒情報の管理や授業改善に活用。多くの生徒は情報端末などを家庭に所有していることから、英語科では10分間程度の動画を配信して家庭で予習をさせ「反転学習」に取り組んだ。
情報端末活用で協働学習の時間を確保
授業は予習前提で進む。挙手して発表をするシーンは少なく、教員の発問にコメントを付けるスタイルで授業は進む。終了後は小テストを情報端末に配信。解答が終わると集計される。
「授業は50分間しかないので、4技能を身に付けるための生徒同士の対話や交流する時間を確保するためには、何かを家庭に持ち帰って授業のボリュームをコンパクトにする必要がある。そこにデジタルが役に立つ」と語る。
週2回程度、Skypeを使ったオンライン英会話学習も実施。生徒はフィリピンの講師と1対1で会話をしている。これは東京都立高校で今年度から導入が進んでいるという。
国語科では、教員の発問に対して生徒が情報端末で回答、結果をクラス全体で共有しながら学びを深めている。
生徒の学力向上や苦手改善には、学力診断テスト「スタディサポート」を活用。これは、英数国の3科目の基礎学力や学習状況を確認できる高校生対象のマークシート式テストで「中学2年次の数学で躓いている」といった生徒の苦手を分析。診断結果に応じた補強問題が生徒の情報端末に届き復習できる。
生徒情報は校務支援システムで管理している。教員は情報端末を使って授業1コマごとに生徒の出席、遅刻、欠席などを記録、教員間で共有。三者面談にも活用している。「『グループ機能』では、職員全員、科目別の教員、クラスの生徒全員、保護者など自由にグループを設定して連絡やファイルの送付ができる。生徒への模範解答の配布などもしている。授業を中心にアナログとデジタルの相乗効果を目指している」と話した。
【講師】岡山中学校・岡山高等学校・明樂晃主幹教諭
【第39回教育委員会対象セミナー・岡山:2017年3月29日】