先ごろ文部科学省から公表された2022年度学校保健統計調査(確定値)によると、裸眼視力1・0未満の児童生徒の割合は小学校で3割を超えて、中学校では約6割、高等学校では約7割となって、学年が上がるにつれ低下傾向は強く、また改善されていないことが明らかになった。一方でむし歯(う歯)は小学校・高等学校で4割以下、幼稚園・中学校では3割以下で減少傾向が続いている。【2面に関連記事】
調査は全国の国立、公立、私立の幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校、高等学校の満5歳から17歳までの幼児、児童・生徒を対象に抽出し、発育(身長、体重)と健康状態(疾病・異常の有無)を明らかにすることを目的に、1948年度より毎年実施。今回は2022年4月1日から1年の間に行われたもの。
学校種別の主な疾病・異常等の状況は上の表の通り。裸眼視力1・0未満の者の割合は、幼稚園で24・95%、小学校は37・88%、中学校61・23%、高等学校で71・56%。幼稚園ですでに4人に1人だったが、学年の進行とともに増え続けている。前回の調査(2021年)で中学校は60・66%で初めて60%台を越え、高等学校は70・81%で70%台を越えたが、今回は中学・高校ともに前回をさらに上回った。
過去との比較では、小・中学校は1979年、高等学校は1985年がそれぞれ最少で、小学校17・91%、中学校35・19%、高等学校51・56%だった。現在、小学校はその2倍以上、中学校も2倍近くに増えている。
文科省は児童生徒の近視増加傾向をふまえ、2021年度から実態調査を実施。その結果、眼球の角膜から網膜の長さである「眼軸長」(長いほど近視度合が強い)は学年が上がるほど長くなるが、変化量は緩やかになることが分かった。生活習慣やICT機器の活用に当たっての配慮事項など、啓発資料等を作成するなどの対策を行っている。
むし歯(う歯)は幼稚園24・93%(前年26・49%)、小学校37・02(39・04%)、中学校28・24%(30・38%)、高等学校38・30%(39・77%)で、全ての学校種で前年を下回った。
むし歯の減少は近年で特に顕著で、高等学校は2019年では43・68%だったところ、3年間で5・38ポイント以上も減少。中学校も5・76ポイント減少した。
むし歯のピークはいずれの校種も9割に達していた1970年代だった。幼稚園の最多は1970年で95・40%、小・中学校は1979年で小学校94・76%、中学校94・52%、高等学校は1980年で95・90%だった。
2022年の今日と比べると、例えば幼稚園では4分の1近くまでに減少している。
アトピー性皮膚炎、ぜん息は共に、小学校が3・14%、2・85%で最も割合が高く、学年が上がるにつれて減少する傾向がみられた。
耳疾患、鼻・副鼻腔疾患はいずれも近年でほぼ同じ傾向が続いている。
教育家庭新聞 健康・環境・体験学習号 2024年2月19日号掲載