教育委員会対象セミナー・岡山 ICT機器の整備計画/校務の情報化
3月29日に第39回教育委員会対象セミナーを岡山・岡山コンベンションセンターで開催した。当日は約80名の参加者が、ICTの整備や活用方法の講演に熱心に耳を傾けた。29年度の教育委員会対象セミナーは、7月4日の東京・KFCホールから、京都、岡山、大阪、札幌、岡山、名古屋、金沢で開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
倉敷市教育委員会 倉敷情報学習センター 尾島正敏館長 |
倉敷市では、小学校の全普通教室に50インチのディスプレイ、中学校の全普通教室に短焦点型電子黒板機能付きプロジェクター、全小中学校に実物投影機を整備済だ。
文部科学省がまとめた「普通教室のICT環境整備のステップ」にはステージ1(電子黒板+各教室PC1台+無線LAN)からステージ4(情報端末完全1人1台)まである。倉敷市は現在ステージ1だが、1人1台の情報端末活用を見据えて平成27年度から無線LAN環境を整備した。各校にアクセスポイントを4~8台配備し、教員用端末を接続している。今年度は、文部科学省の放課後子供教室整備事業を活用して、約1800台整備を決めた。放課後以外の時間は、授業でも活用できる。
整備内容の正解は自治体ごとに異なる。文科省のICTアドバイザー事業で関わっている中国地方のある市がネットワークを整備した。小学校には有線LANはあるが中学校にはなく、小学校のLANも10MB程度と学校教育で使える速度ではなかった。そこで教育委員会はインフラ整備ではなく、LTEの導入を選択した。このような判断は正解だと思う。
提示機器に電子黒板機能を付けるか否か、無線LANの更新か、もしくはLTEで毎月費用を払い続けるのか。
一度整備するとリース物件は5年ごとに更新を繰り返していかなければならない。
解像度の高い4Kの65インチディスプレイは現在高価格だが、HDで65インチならば価格は安くなる。
文部科学省が示した4ステップを登ることは簡単ではないが、整備内容は未来を見据えることが重要だ。
検討が必要になる個人フォルダ管理
今後、40台の可動式PC・端末が学校に配備されると、個人フォルダ管理が課題になる。児童生徒が撮った写真等のデータは個人情報保護の観点からも、共有の情報端末ではなく、個人フォルダに保存したいが、その設置場所が難しい。写真や動画のデータは重く数も膨大。学校サーバ、市のセンターサーバを大容量に対応させると、その整備・更新には非常にコストがかかる。自治体の情報セキュリティポリシーによってはクラウドへのデータ保存ができない場合もある。
情報端末や授業支援ソフトのID、パスワード設定の毎年の変更についても大変な事務作業が派生する。
整備すべき台数が増えるほど、教育委員会ですべてを整備するという方法以外の手段が必要になりそうである。
校務支援システム
市には教育委員会と学校間で文書の伝達ができるグループウェアは整備済だが、成績処理や通知表、指導要録の作成などができるシステム、事務職員、非常勤職員用の校務用PC配備は今後の課題。2020年のスマートスクール構想に向けて、検討中だ。スマートスクール構想の中で、エビデンスに基づく学級・学校経営が課題の1つとしてあげられている。校務支援システムは今後、学習記録データを学校経営・学級経営の見える化をしてどう進めていくかが大きな検討要素になる。出欠や健康状態と学力の関連が分かるようにするなど、未来を見据えて整備を進めていきたい。
【講師】倉敷市教育委員会・倉敷情報学習センター 尾島正敏館長
【第39回教育委員会対象セミナー・岡山:2017年3月29日】
【2017年5月8日】
1、備前市教育委員会 杉浦俊太郎教育長/2、倉敷情報学習センター 尾島正敏館長
3、岡山市立旭竜小学校 延堂雅弘校長/4、三好市立下名小学校 中川斉史教頭
5、竹原市立吉名中学校 若本綾子教諭/6、岡山中学校・岡山高等学校 明樂晃主幹教諭
関連記事