教育委員会対象セミナー・岡山 ICT機器の整備計画/校務の情報化
3月29日に第39回教育委員会対象セミナーを岡山・岡山コンベンションセンターで開催した。当日は約80名の参加者が、ICTの整備や活用方法の講演に熱心に耳を傾けた。29年度の教育委員会対象セミナーは、7月4日の東京・KFCホールから、京都、岡山、大阪、札幌、岡山、名古屋、金沢で開催する。セミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
備前市教育委員会 杉浦俊太郎教育長 |
学びのシンボルともいえる旧閑谷学校を擁する備前市の教育長として平成29年度、3年目を迎える杉浦氏は「この2年で4校が統廃合、児童生徒合わせて約2000人弱と子供の数が減っている。そこで、教育で街づくりに取り組み、県内で消滅可能性都市2位という現状を打開したい」と語る。家庭と地域を土台に、コミュニケーション能力の向上、グローバル化、情報化、補充学習などすべてにICTを活用して取り組んでいる。
スタートは学校現場の理解を促すことから
現在、PC・情報端末整備率は、1台あたり児童生徒数0・7人と全自治体中7位。普通教室の電子黒板設置は、100%だ。活用も広がっている。「ここまでくるのは大変であった。市長が情熱を持って導入したものの、学校現場の理解が進んでおらず、教育長就任当時は、情報端末などICTを使っていないこと、使われていないことへの強迫観念が学校に蔓延していた。豊かな教育を実現するための手段としてICTがある、体育の授業でフォームを確認・修正する、ALTの発音を動画で撮影して自宅で復習するなど、週に1回でも良い、紙にできない活用をしようと伝えていった」
フューチャールームは各校異なる目的で設置
総合アドバイザーとして中川一史教授(放送大学)を迎え、研修指導や効果分析を行い、ICTリーダーの育成や改善指導に着手。ICTリーダーを全小中学校に配置して校内にICT活用を広げた。
モデル教室の役割を果たす「フューチャールーム」も市内全15小中学校に設置。3面スクリーンで机も椅子も可動性の高いものとし、ポスターセッションやグループごとの話し合いができる。
各校の希望をとり、多目的室や視聴覚室、PC室、総合学習室、音楽教室などそれぞれの目的を重視したフューチャールームとした。
「人前で発表することで目に見えて伸びる子供がいる。少人数で対話を重視しながらプレゼン能力を養い、発表する際には拍手で迎えることで自己肯定感の醸成にもつながる。ICTや英語への積極的な取組はアイデンティティ醸成にもつながることから、海外の学校との交流も推奨している。プログラミング教育に着手し始めた学校もある」と語る。
企業や大学と連携
企業や大学との連携も重要な戦略だ。「家庭学習も重要な課題であり、岡山大学と企業と連携して備前市オリジナル教材を開発、放課後学習支援などに取り組んでいる。小4から中2まで宿題でドリルに取り組み、翌日提出。提出すると瞬時に何時間取り組んだのか、弱点はどこかなどが分析され、授業改善につながる。情報端末が1人1台あるからこそできることでもある。中学校3年生は受験に向けて特別なプロジェクトで学力を分析している。土曜日の学習支援は岡山大学の学生ボランティアだ。また、関西福祉大学とは特別支援で連携している。まさに種まきの真っ最中であり、花咲く時を心待ちにしている」と語った。
【講師】備前市教育委員会・杉浦俊太郎教育長
【第39回教育委員会対象セミナー・岡山:2017年3月29日】
【2017年5月8日】
1、備前市教育委員会 杉浦俊太郎教育長/2、倉敷情報学習センター 尾島正敏館長
3、岡山市立旭竜小学校 延堂雅弘校長/4、三好市立下名小学校 中川斉史教頭
5、竹原市立吉名中学校 若本綾子教諭/6、岡山中学校・岡山高等学校 明樂晃主幹教諭
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