教育委員会対象セミナー・岡山 ICT機器の整備計画/校務の情報化
教育委員会や学校のICT整備担当者を対象に実施している「教育委員会対象セミナー〜ICT機器の整備と活用・研修」が、3月31日に岡山で開催された。本文中役職・所属は3月31日現在。次回は7月5日に東京で開催される。今年度のセミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ
新見市教育委員会 学校教育課 真壁雅樹主任 |
新見市では、光ファイバー網「ラストワンマイル」事業として市内全域に整備を行った。この光ファイバー網を利用して、平成22年度「地域雇用創造ICT絆プロジェクト(教育情報化事業)」に参画した。まず高尾小学校で、(1)校内無線LANの整備、(2)1人1台のiPad(全75台)配備、(3)普通教室への電子黒板の整備(全6台)を実施。
翌年には総務省「フューチャースクール推進事業」及び文部科学省「学びのイノベーション事業」で、哲西中学校に(1)校内無線LAN設備、(2)1人1台のiPad(全64台)、(3)普通教室、特別教室への電子黒板の整備(全11台)を行った。この2校の実証研究では、特に自分の意見を積極的に発表する姿勢や、情報活用能力の伸長などの成果があったという。
この成果を受け、平成26年度より「新見市ICT活用教育推進事業」として市内全中学校に1人1台iPadを導入。前述2校と同様の整備に加え、ICT支援員2名による巡回支援を開始した。
現在、各中学校ではアプリを活用しながら、協働学習などに取り組んでおり、オンラインストレージサービス「Dropbox」やPDFに書き込みができる「neu.Annotate+PDF」、複数人が意見交換や質問への回答などができる「PingPong」等を活用している。
教員が教材のPDFファイルをDropboxにアップロードしておき、生徒はneu.Annotate+PDFで解答、Dropboxに提出する。このとき、電子黒板制御用PC上のDropboxフォルダを開くと、電子黒板の画面では提出したファイルがサムネイル表示されるため、他の生徒の解答も見ることができる。それにより、生徒は「単に答える」から「解答がどうすれば伝わりやすくなるか」を考えるようになった。
修学旅行では、写真をDropboxにアップして、保護者との情報共有に利用した。生徒は、自分が撮影した写真にコメントや説明文をつけてアップしており、情報発信能力の伸長が見られた。
生徒会活動では、PingPongが主に活用されている。質問を配布、回答・集計できるので、アンケートや4択質問などを適宜活用し、iPadを使って集計している。
家庭科や体育など実技科目では写真や動画の活用が多い。特に体育では、フォームを撮影し、手本と比較して修正点を指摘し合うなどの活用が行われている。
現在、授業では(1)時間配分の変化、(2)多くの生徒の意見・考えの紹介、(3)互いの考えを聞く、参考にすることができる、(4)生徒理解がより深くなるなど、教員の意識の変化なども生じている。
生徒の望ましい変化については、(1)主体的に授業へ取り組むようになる、(2)表現力の育成につながっている、(3)思考や応用する力がついてきている、(4)望ましい学級集団が育っている、の4つを挙げた。「ICTを積極的に活用していくことで、「世界で通用する『新しい能力』の育成を目指していく」と今後の抱負を語った。
【講師】岡山県新見市教育委員会学校教育課・真壁雅樹主任
【第30回教育委員会対象セミナー・岡山:2016年3月31日】
【2016年5月9日】
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