デジタルテストは選択式(上)と記述式(下)で作成。解答後はすぐに自己採点できる |
立命館小学校(成山治彦校長・京都市)では平成25年度から高学年児童で1人1台のタブレットPCを活用している。機種は学校が選定、一括購入してそれを保護者が購入するというスタイルでの運用だ。様々な教科で課題の持ち帰りや授業中の調べ学習、まとめなどの活用が進んでおり、10月からは新たにDNPデジタルテストシステム「Answer Box Creater」(以下、ABC)の検証をスタート。タブレットPCと「ABC」の活用について同校ICT教育部の小池翔太教諭に取材した。
「ABC」活用のきっかけは、さらなる1人1台のタブレットPC活用と効率的・効果的な指導・評価の実現を期待してのこと。タブレットを保有する全学年・教科での活用を視野に入れ、まずは小池教諭が所属するICT教育部から活用をスタートした。同校は5年生から教科担任制となっており、小池教諭は社会科の担当だ。
現在「情報通信技術の発達」の学習に取り組んでおり、授業の冒頭に前時の振り返りとして数枚の写真を電子黒板に表示していくと、児童は「電話機」、「海底ケーブル」と元気よく答えていった。
立命館小学校
次に画面に現れたのは成山校長だ。「来年は4年生からタブレットPCを1人1台で活用します。先輩として、どのような活用をすれば良いのかについて、タブレットPCのデジタル教科書を1人1ページ作成してください」という「校長先生からのお願い」が伝えられた。これは単元「情報化した社会とわたしたちの生活」のまとめとしての活動で、「人の役に立つ」ことを意識した情報発信をすることで、責任を持って情報を活用していくことの大切さについて考えることが狙い。
「うまく使える方法や便利なところから教えてあげよう」と小池教諭がアドバイスすると「資料集めを短時間にたくさんできる」「タイピングを覚えると効率的に使える」などの意見が出始めた。
次に、1人1ページの内容を各自で考える。作成はデジタルノート上で行う。キーボードの写真を撮影してコメントを入れる児童、同校児童に配布済の「タブレットPC『約束編』『活用編』」を取り込んでそれにコメントを追加する児童、問題形式でテキストを打ち始める児童と様々だ。
授業の終わりには、前時及び本時の内容について「ABC」で作成した確認テストを各自でダウンロード。前時の内容については知識事項を確認する選択式、本時の内容については記述式で、「4年生へのアドバイス」を通じて自らの活用について見直し、それがどれだけ言語化できているかを見ることが目的。記述式では、スタイラスペンでタブレット上に直接書き込む児童が多い。
テスト終了後は各自で自己採点をして提出。ワンクリックですぐに答え合わせができる点はABCのメリットだ。
全4問の穴埋め選択式の問題についてはほぼ全児童が全問正解。記述式については、何人かがどのような回答をしたのかについて発表した。「タブレットPCの活用について整理するうちに自分もきちんと使おうと思った」と、狙い通りの発表も出た。
小池教諭はABCの活用について「今日のテストはワードを使い、空き時間に短時間で作成した。テスト結果はすぐに採点・集計して指導が必要な子には迅速に対応している。エクセルで集計・分析などデジタルで一括管理できるため、評価にも活用しやすい。小テストの印刷や採点がデジタルで一括できるメリットは大きい」と語る。
今後、他教科については、国語は言語事項に関わる練習問題、英語はリーディングの自習課題の自己採点、理科では基礎事項の確認などにおいて活用の要望が上がっており、特に教員数の少ない教科では校務の効率化の面での期待が大きいようだ。まずはICT担当として、タブレットPC上でのスムーズな活用を検証していく考えだ。
【2015年12月7日】
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