【拡がるタブレット端末活用の試み】岡山県・総社市教育委員会

次年度更新を視野に 新しい環境を検証

岡山県・総社市立総社西小学校

フラッシュ型教材で復習

岡山県・総社市立総社西小学校

持ち運び・撮影しやすい7インチタブレット

 11月1日、総社市立総社西小学校(井上克彦校長・岡山県)で「岡山県小学校教育研究会 情報教育部会県大会」が行われ、県内の教育関係者などが集まった。総社市では、若手からベテランまであらゆる教員が日常的に授業で活用できるICT環境の構築を目指しており、書画カメラ、プロジェクター型電子黒板、デジタル教科書などを活用している。当日はその成果として3授業が公開された。

■公開授業

  1学年算数の授業「ひきざん」では授業の始めに、これまで学習した引き算の計算(フラッシュ型教材)を全員で復習。

  今日の課題は「13‐9」などの繰り下がりのある計算だ。

  教師は10のまとまりを意識しやすいように実物の数図ブロックを使って、「10」のまとまりを桃色、その他を緑色に分けるように指示し、自力解決を促した。

  児童が「10から1つずつ引いて」、「先に引いてから10から引くと」などとつぶやき始めると、教師は書画カメラを活用し、手元を投影してブロックを操作しながら説明した。

*…*…*

  3学年算数の授業「三角形」は三角形の定義や性質を理解する授業だ。

  児童は長さの違うストローを自由に組み合わせ、多様な三角形を作った。できた三角形のグループ分けを班で話し合い、まとめ、班ごとに電子黒板とデジタル教科書を使い発表を行った。

*…*…*

  6学年体育の授業「マット運動」では、HDDビデオレコーダーとデジタルTV、タブレット端末を活用し、自分たちの動きを映像で見て児童同士でアドバイスし合い、技能を高める授業だ。

  「友だちにアドバイスしてあげましょう」と教師が促すと「伸しつ後転の時はまっすぐ出したほうがいいよ」、「体を小さくするとできるよ」など、動画や写真を見ながら教え合っている様子が見られる。

  この授業で使われていたのは7インチのアンドロイド端末。検証用に学校で用意したもの。

  同校の井上克彦校長は「総社市では無線LANが使えないので、デジカメ・ビデオとして活用しています。児童が持ち運び、撮影や逐次再生ができ、グループで見合うには最適なサイズ」と語った。

  ICT支援員・サポーターも配置されており、児童が機器操作に困った際などに対応していた。

ICT環境整備は 第二ステージに

  平成21年の補正予算時、市では全校(小学校15校。中学校4校)の全普通教室と一部の特別教室に、実物投影機、プロジェクター、マグネットスクリーン、ノートPC、校内LANを整備。「各校に数台の電子黒板ではなく、全教室整備が必要だと考えた」というのが整備の理由だ。

  市では来年度、小学校15校のPC教室の更新を控えており、今夏、教員のニーズを図るため市内で情報機器の展示会も実施。総社市のICT環境のセカンドステージとして、タブレット端末や電子黒板機能付きプロジェクター、ドリル教材、フラッシュ型教材、指導者用デジタル教科書などの導入を考えている。

  今後、日常の授業に役立つICT環境を維持しながら学力向上に焦点を当てた整備を進める考えだ。

【2013年12月2日】

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