“学力”“規範意識”世界トップレベルに 文科省・平成26年度概算要求

 文部科学省は平成26年度の概算要求を公表した。要望額は前年度比10%増の5兆9035億円。優先課題推進枠として8400億円を要求。世界トップレベルの学力と規範意識を育むための施策において、人材支援に配慮しつつあらゆる方面から取り組みを強化、平成26〜32年度で計画的に実現していく。優先課題推進枠としてスーパーグローバル大学や各種支援人材の確保、情報通信技術を活用した新たな学び、特別支援教育の推進、学校施設整備、いじめ対策、土曜日教育活動の推進ほかが盛り込まれている。

情報通信技術を活用した“新たな学び”を推進する

■3年100地域で 授業革新進める試み

  文部科学省は新規で、情報通信技術を活用した学びの推進(22億円)を行う。新規事業「情報通信技術を活用した新たな学び推進事業」(20・7億円)は優先課題推進枠。

  ICTを活用し、確かな学力の育成に資する授業革新を促進する拠点づくりの推進等を進める。

■10地域40校で 新たな教育体制構築

  総務省との連携の元、先導的な教育体制構築事業を10地域40校で行う。学校間・学校・家庭が連携した「新しい学び」を推進するための指導方法等の開発、教員の研修体制の構築など、授業・校務等のICT活用をベースにした委託事業「先導的な教育体制構築事業」に取り組む研究を推進する(4億円)。

  ICTを活用した課題解決型教育の推進事業として、初等中等教育段階からのプログラミング教育等に対応した教員向け指導手引書等を作成。多様な端末においてデジタル教材等の活用ができるよう、デジタル教材等の制作・流通基盤の構築を推進する(1・5億円)。

■100自治体に 端末等整備費を補助

  これに加え文部科学省では、「確かな学力の育成に資する授業革新促進事業」として補助事業(17億円)を実施。3年間で100地域(初年度は40地域)を拠点地域とし、ICT教材を積極的に活用して、子どもたちにとって楽しくわかる授業等を実施する。

  主な対象経費は、協議会の開催、教材費、外部人材の配置、タブレット端末等も含む備品等。離島や外国との交流、協働学習など想定している。1地域1・3億円を上限として1/3を補助する。

  これら事業の推進により、協働学習、個別学習、特別な支援を要する児童生徒の可能性を高める学び、分かりやすく理解が深まる授業などの総合的な実現を目指す。

■総務省と連携で 協働学習を強化

  総務省「フューチャースクール推進事業」と文科省「学びのイノベーション事業」は今年度で終了するが、次年度以降はこの実証結果をさらに発展・強化しつつ普及を図る。

  自治体単位での教育体制の構築・活用や、学校間・地域・家庭の連携による教材や学習活動記録の蓄積・共有、効果的な活用の必要性、教員の指導力及び指導方法の不足、利用しやすいデジタル教材配信システムの必要性などの課題を解決すべく、これまでの実証研究を踏まえた学校ICT拠点づくりに取り組む。

  文科省との連携で総務省では、教育分野におけるICT活用に15・7億円。このうち「先導的教育システム実証事業」として、14・9億円を要望。教育分野におけるICT化の全国展開促進のため、学校・家庭をシームレスにつなぐ教育・学習環境を実現する教育ICTシステムの実証研究を行う。

  多様な端末から利用できる低コストの普及モデルに技術的標準化を行うことで、導入コスト削減を実現する考えだ。

“次世代人材”育む 取り組みを強化

 科学技術を担う人材の育成に向け、スーパーサイエンスハイスクール支援事業と連携しつつさらに高等学校段階の次世代人材育成の高度化等を推進する。

  科学技術人材育成のコンソーシアム構築(27億円)、問題解決型学習(PBC)を中心としたイノベーション人材養成プログラムの開発・支援(20億円)、グローバルサイエンスキャンパス(SSH連携で高度化)(7億円)、課題探究型理数教育実践高校支援(SSH連携で高度化)(11億円)など。

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  体験活動の推進に22億円増の82億円。創造性やコミュニケーション能力の向上等に務める。

  新規で、土曜日の教育活動を推進(20億円)。地域教育力との積極的な協働を進める。土曜授業の効果的なカリキュラム開発や外部人材活用として約70地域350校程度を予定。また、土曜日の教育支援体制等の構築には小学校4000校区、中学校2000校区、高等学校700校区を予定。

【2013年10月7日】

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