岐阜県・美濃加茂市では、平成24度から市内の小中学校に児童生徒用タブレット端末と教師用セットの導入を開始するとともに、導入校のPC教室を廃止。以来、PC教室を中心に行ってきた情報教育から、普通教室で行うICT教育へと切り替えを進めている。
「PC教室の廃止という提案は当初、受け入れられなかった。しかし、PC室は使いたい時に空いていないなど調整が難しく、1校時分もPCが必要ない場合が多いこともあり、PC教室の稼働率はそれほど高くはなかった。
リース期間5年間、総リース料が2千万円とするとPC教室利用の有無にかかわらず1校時あたり3800円程度支払っている計算になり、決して費用対効果は高いとは言えない」と主張、賛同を得ることができたという。これにより、約9割の教員が感じている「多忙感の解消」と、PCを活用した「授業改革の推進」を目的とした「PC教室の撤去」と「児童生徒用タブレット端末セット及び教師用セット」の導入が認められた。
前者は無線LANアクセスポイント(AP)3台、タブレット端末40台をPC保管・移動用カート2台にセットしたもの。インクジェットプリンタも1台導入した。
40端末が同時にアクセスしてもストレスなく使用できるように、APは業務用の高精度なタイプを選択。カートは、給食用エレベータで運搬できる大きさとした。
後者は、教師用タブレット端末、液晶プロジェクター、書画カメラ、教師用AP、外付けDVDドライブ、外付けスピーカー、マグネット式電子黒板各6台だ。プロジェクターは斜めから投写しても瞬時に補正できるタイプとし、設置が簡単でかつ影ができにくいようにした。
ICTセット導入校と未導入校のPC稼働率を見ると、教師用セットはほぼ毎時間活用されており、児童生徒用の活用度も約5割とICTを活用した授業時数は明らかに増加したという。
活用が進むにつれ、新たな課題も見つかった。小学校高学年から中学校ではキーボードのニーズが高いこと、教師用端末画面を児童生徒用端末に転送するシステムの必要性も明らかになった。
今年度から中津川市の中学校で管理職を務める立場から、加藤氏は「現場から声を上げて行政に働きかけ、要望を実現していくという流れをつくり、中津川市ではより良い環境の構築と積極的な活用を進めていきたい」と話した。
【2013年8月5日】
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