カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州(以下BC州)の経済政策の主要産業の1つが国際教育だ。BC州は2012年、以後4年間で留学生50%、約4万7000人増という方針を立てた。英語を第一言語としない人のための英語クラス「ESL」(English as a Second Language)などで移民や留学生の英語力補強に対応しつつ、小中学校から大学、短期・長期等様々な留学プログラムを提供、外国人が学びやすい体制が整備されている。歴史的に移民が多く複数の人種・言語が混在していることから多様なニーズに対応するという土壌が長年にわたり根付いており、各校・各地区には留学生をサポートするセンターや部署がある。そこでは留学生の生活支援体制も整備されている。
ブリティッシュ・ コロンビア州 雇用・観光・職業訓練省 ディレクター ポール・アーウィン氏 |
ポール・アーウィン氏(ブリティッシュ・コロンビア州雇用・観光・職業訓練省ディレクター=Ministry of Jobs, Tourism and Skills Training)は「林業や水産業など、日本とカナダは歴史的に経済的な連携関係にある。日本とカナダの姉妹都市のうち約半分にあたる39市がBC州。今後は教育分野においてもBC州と日本との新しいつながりを模索していきたい」と話す。
留学生増を視野に 積極的に施策展開
日本においても「同僚の半数は外国人」の時代がすぐそこまで来ている。一方カナダには長きに渡り複数の人種・言語が混在しており、「グローバル人材育成」の素地が既に育まれているという国民性だ。
日本人を始めとする留学生も多い。BC州の公立高等教育機関は現在25。そのうち研究中心の総合大学4、地域に根ざした専門職養成系大学7、地域カレッジ11、その他3で、留学生は約3万2000人。私立の高等教育機関は79で留学生は1万1000人以上になる。
これら留学生をさらに増やすため、高等教育の質の保証と留学生へのアピールを目的に、BC州は2009年よりEQA(=Education Quarity Assurance)と呼ばれる認定制度を設けている。
これはカナダ初の制度で、EQA認可により、主に外国人留学生を対象に、その教育機関で州政府が設けた基準をクリアしたプログラムの運営を行っているという「質」を州として保証するものだ。
現在約105の教育機関がEQA認定されている。
産学連携の強化で 映像産業人材育む
バンクーバーアイランド大学 |
デジタルメディアなど映像産業も盛んで、各産業を担う人材育成に力を入れており、Co‐opプログラムと呼ばれる産学連携も盛んだ。
就職支援も充実している。学生は在学時、インターンシップ先に合格できれば、該当学期中フルタイムで働き、単位を取得できる(留学生の場合は就労許可証が必要)。通常は1期4か月間就労で、そのままそこに就職する学生もいる。有償、無償は企業による。
初等中等教育から 留学生支援が充実
初等中等教育においては現地の生徒は住居近くの学校に通うのが基本で、約90%が公立に通う。
能力やニーズにあわせて学校を選ぶのではなく、学校が生徒の多様なニーズに対応している点が特長だ。
留学生のための専用サポート組織があり、今回取材したバーナビー学校区、ビクトリア学校区の初等中等教育機関では、いずれも日本語のパンフレットが用意され、留学生の受け入れに積極的だ。多様な学習機会の実現のため、ICTの活用にも着手している。
【2013年4月8日】
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