「きのこごはん、筑前煮、おひたし、焼き芋」など |
気候が落ち着き、青空の澄み渡る気持ちの良い季節となりました。学校では様々な行事がたけなわですね。来月11月24日は「和食の日」です。そこで、今回と次回は日本の伝統文化や和食について考えていきたいと思います。
まず、2013年ユネスコ無形文化遺産登録された「和食」についておさらいしておきましょう。食文化のジャンルとしては初めて登録された「和食」は、特定の食事ではなく、「和食・日本人の伝統的な食文化(食に関する慣習)」が対象になりました。
この『食に関する慣習』とは、例を挙げると「おせち料理」が和食かどうかではなく、『お正月におせち料理を食べるという文化』や「赤飯」ではなく『おめでたい時に赤飯を食べるという文化』、「会席料理」でなく『人をもてなす時に会席料理を出す文化』等を通した「和食」が推薦されたのです。
そしてその理由付けとして、(1)新鮮な食材と調理、(2)優れた栄養バランス、(3)年中行事との関わり、(4)美しさ・季節の表現の4つが挙げられています。具体的には、北から南まで自然の変化に富んだ四季の味、その味を生かすだしや調味料。器や部屋の設えなど見た目にも美しい、おもてなしの心。また、食との関係が深い行事や地域・家族との絆、自然を尊重する精神。さらに日本型食生活に見られる健康的な食生活が、認められたということなのです。
1.皆さんが考える「和食」ってなに?
いわゆる、日本古来の日本食が「和食」なのでしょうか。日本人は器用な民族といわれますが、世界の名物料理を日本人好みに上手にアレンジして、ほとんどの料理をごはんに合う主菜・副菜として成り立つようにしてきました。ジャパンナイズされた世界の料理は、和食と呼べるのでしょうか。
2.給食に見る和食って?
米飯給食を週3回実施している学校は、95%だそうですが(2013年5月調べ)、米飯給食イコール和食と考えていいのでしょうか。例えば、「ごはん、みそ汁、牛乳、とんかつ、ポテトサラダ、ひじき煮」は和食でしょうか。「和風カレーライス、牛乳、和風サラダ、みかん」は? 和食って案外難しいですね。みなさんが考える給食って何ですか。給食に出している和食の定番は何でしょう。また、和食を伝えたいと考えた時、給食に出したい献立はどんな組み合わせでしょうか。
給食も食器を変えると趣が |
3.「和食」の定義とは
平安時代末に登場したと言われる「一汁三菜」は、穀物を主食として千年もの間日本人の暮らしに受け継がれてきました。一方、日本で培われた独特の調理法で作られた料理を「日本料理」と呼びます。日本になじみの深い食材を用い、日本国土・風土の中で独自に発達してきた料理です。
歴史から見てみると、基本を菜食(野菜・豆・穀類)とする仏教由来の精進料理も、鎌倉時代には豆腐・こんにゃく・海藻が加わりました。禅修行僧が冬の寒さと空腹をしのぐための食事として始まり茶の湯とともに発展していった懐石料理、連歌や俳諧などを楽しむ宴会の席で出された会席料理も少しずつ変遷を遂げてきました。このようにひと口に「和食」といっても定義は難しいのが現状ですが、どうも和食と日本料理は区別したほうが良いようです。この続きは次回へ。
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秋の和食献立のヒント
主食:きのこごはん、吹き寄せ栗ごはん。主菜:さんまのかば焼き、鮭のとろろ蒸し、ぶり大根、イカと大根の炒め煮、五目卵焼き。
副菜等:豆腐の田楽、もみじおろし和え、白菜づけ、大根の和え物、サツマイモの甘煮。
大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web「おkayu(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。
【2017年10月16日号】
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