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5月に起こった給食による食中毒とその事後処理(予防指導)「排便禁止」が世間をにぎわせました。関係者の皆様には、複雑な思いがあったことと思います。
食中毒に限らず、給食運営・衛生管理・アレルギー対応等で栄養士が協力を仰ぐのは、養護教諭です。養護教諭は、給食に係わる委員会や児童委員会の担当としても、密接に関わることが多い存在です。児童生徒の心と体の成長と健康管理を目指して、どのような連携と取組をおこなったらよいか考えてみましょう。これまでの実践を含め提案していきます。
1、児童・生徒の実態を把握する
身体測定結果や保健室来室者の実態、アレルギー対応者の健康状態等について、養護教諭の見解を聞き、共通理解を持つ。
2、健康教育(食教育)の方針を決める
1の結果を踏まえ児童生徒の目指す健康像を描き、めあて・到達目標を決める。
3、具体的な活動を計画・見直しする
2を基に手立てを考え、これまでの計画を見直すとともに、新たな活動計画を作成。
4、実践例(順不同)
@アレルギー児危機管理対応
避難訓練と同様にショック症状が出た時の対応策マニュアルを養護教諭が講じ、起こった場合の対応(誰がどう動くかシミュレーション)を共有する。
A学校保健委員会への支援
年に1回は、教職員・校医・薬剤師・保護者を交えての開催が義務付けられており、児童生徒の健康状態や問題点を伝え、それぞれの立場で意見交換することが望ましいが、保護者の出席率を上げるための工夫が重要。養護教諭と栄養士の連携の効果が表れやすい。
B歯の衛生週間・いい歯の日の指導
養護教諭が校医・歯科衛生師との連携指導を実施していたが、「歯によい食べもの」についてのポイント(5〜10分)指導を依頼され、栄養士指導が組み込まれるようになった。
C人権教育授業(校内研究の一環)
「みんなちがってみんないい」
当初は専科分科会の研究授業として行ったが、以後継続している。図工(5年生の影絵紙芝居制作)・音楽(テーマ音楽「みんなちがって…」の指導)・養護教諭と栄養士が授業と分担して、3時間計画で取り組んだ。内容は、肥満で悩む児童・アレルギー児への理解を促し、個体差や他を認める人権教育に根差し、道徳・学級活動を活用して行った。
Dウェルバンビ (以前実施した肥満児指導の愛称)
養護教諭とTTで授業を実施。内容によっては分担も |
肥満度の高い児童を対象に昼休み・放課後(夏季休業前)を活用して指導。指導内容は夏休みの生活(特に、食事・おやつのとり方)について。アイスクリーム大さじ1杯のエネルギーを消費するためには、どのくらいのジョギングが必要か、その場で足踏み体験などを取り入れ指導した。
E健康だよりの発行
保健だより・給食だよりを一つにして発行。読み手中心に考えると内容の重複を避ける意味でも、配布物は統一したほうがよいでしょう。
5、活動の評価と来年度計画
詳細は、本連載〈第19回「学校給食は食育の教材」(2016年2月15日号)〉を参照ください。養護教諭との連携をスムーズに行う秘訣は、前述の「2.健康教育(食教育)の方針を決める」で述べた、児童生徒の目指す健康像を共に描くことがき、手立てや方向性が一致していることがポイントとなるでしょう。意見の相違があった場合は、相互理解を図り可能な実践のみに絞ることが肝心です。
大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。
【2016年7月18日号】
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