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学校給食は食育の教材【第16回】「給食ノート」の活用方法

子供たちの"心"や"本音"を引き出す一冊

サツマイモの日の給食
「サツマイモの日」給食

秋は行事が多く学校は慌ただしいですが、活気Dれる充実の時を迎えます。この時期は、子供たちの成長が色濃く映る時でもあります。そんな時期に開始をおすすめするのが「給食ノート」です。今から30年余り前に始めましたが、感受性が豊かになり著しく心が成長し、素直な感覚を表せる4年生が良い時期だと思います。

■やくそく

@1日1人が順番でノート1頁に、その日の給食のことなどについて書く
 A書いたらその日のうちに届ける

30年以上続けた給食ノート
30年以上続けたノートは「宝物」で今でも保存

この2つが約束事であとは自由記述です。ノートからにじみ出てくる4年生の心情は、「給食大好き」「苦手なモノへの挑戦」「作ってくれた人や友達・先生への気遣い」があふれています。

まずは担任に相談しました。目的と方法を伝え、無理なく進める旨を伝えます。提出の徹底だけでなく書き方の指導をしてくださった先生もおり、中には自ら進んで書いてくれたことも。多くの先生が私の返事の長さに驚き、活動を支援してくれました。児童と私のやりとりを読んだある校長先生は、家庭に持ち帰って記入することを提案してくれました。保護者の書き込みもあり、家庭との一体感が生まれました。

食育活動が定着し学習指導要領にも記載されている今は、食育年間計画に組み入れ職員会議などで十分な説明をし、教育効果のある取組であることを理解してもらいましょう。

ノートの中身をいくつか紹介します。

「アーモンド揚げパン、牛乳、豆腐のカレー煮、キャベツの蒸し煮、みかん」

給食ノートの1ページ
給食ノートの1ページ

■児童D・T =僕は1年生の時から給食が苦手で、残してばっかりだったけど努力して給食を食べています。もちろん今日も残しませんでした。揚げパンがおいしかったです。

■返事 =給食が苦手だったT君が、残さず食べられるようになったと聞いて、ほんとうに感激しました。すごい努力を続けた結果ですよね。そして、今も努力しているのですよね。エライ!(パチパチ!拍手)みんなの年齢、4年生って、とっても大事な学年なのです。小学校での節目だと私は思っています。嫌いなものがだんだん食べられるようになったり、いやだったり苦手だったことが、なんとなくできるようになったり、やってみようと思えるようになったり、というように、気分で決めるのではなく、頭で考えて決めることができる年齢なのです、4年生って。これからも頭で考えて、何でも食べられるように努力を続けてくださいね。

「青空給食」

■児童Y・U=今日は、空がとってもきれいでした。まだ、給食を1回しか残したことがありません。なぜかというと、おいしいから、いつもおかわりして、嫌いな食べ物があっても、ゼッタイに残しまへんで〜!

■返事=青空給食日和でした。目にも胸にもしみる青い青い空で、素敵な日でした。外で食べるのって、やっぱり気分がいいですよね。Uさんは、お弁当ばかり見ていたのではなく、ちゃんと空も見ていたのですね。えらい!えらい!というのは、最近大人も子供も空を見ていないらしいのです。特に夜はね。月が三日月だったか満月だったかなんて、気づかない人もたくさんいるらしいですよ。さて、これからも「のこしまへんで〜」というUさんの記録を更新(記録を伸ばしたり、増やしたりすること)してもらうために、給食室も「のこさしまへんで〜」と頑張りますよ。

「ソース焼きそば、牛乳、わかめと卵のスープ、中華マリネ、さつまるくん」

■児童N・R=ぼくはきょうの給食で一番好きなのは、さつまるくんです。ぼくのおとうさんの田舎は鹿児島なので"紫芋のキャラメル"を送ってきます。なので、さつまいもは大好きです。きょうの給食は最高です。

■返事=N君が最高と言ってくれたのは、お父さんの田舎でよく取れるさつまいもを使った《さつまるくん》が出たからですかね。さつまいものさつまとは、鹿児島のことで、昔はさつまの国とよばれていたのです。ところで、最近紫芋のお菓子をよく見かけますね。じつは、我が家に紫芋の粉があるのですが、どうやって使おうか迷っています。N君なら何に使うといいと思いますか。さて、日本には、その土地で採れる特産物があって、珍しいものも多いです。東京は、そんなさまざまな食べ物が手に入るので、しあわせですよね。

こんなエピソードもあります。6年生が考えた献立を出した時のこと、それを考えたK君のことを幼稚園のころからあこがれていたとノートに告白した女の子がいました。このノートは他の子も見るのでどうしたものかと、専科の先生方と相談したことを思い出します。

返事をするのに心がけていたことは、短い文にもたくさん返事を書くこと、よいところを見つけ褒めてあげること、興味を持ってもらえそうなことを盛り込むことなど、ポイントは子供の心や本音を引き出せるように、また、無理に子どもに合わせず、漢字には振り仮名をし、熟語には説明を付けました。ぜひお試しを。

大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web「おkayu(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。


【2015年10月19日号】

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