連載

学校給食は食育の教材【第12回】夏休みへ向けた指導

給食

6月は食育月間です。すっかり定着した感もありますが、この機会に食育について改めて考えてほしいと思います。

さて、そろそろ梅雨入りの声がきかれます。今年は5月から気温が高い日が続き、暑さ対策が気になります。夏休みに配布する"おたより"づくりと併せて、夏に向けた食生活の指導を考えてみましょう。

5・6月に運動会を実施した学校が多いと思います。蒸し暑いことも重なり、練習後は体力の消耗により、授業に身が入らなくなるのがこの時期です。食指導のポイントは「基礎体力づくり」と「スポーツと栄養」に焦点を当て、▼朝ご飯の大切さ▼バランスの良い食事▼水分補給の3点に絞りました。この内容は、夏休みの生活にも応用できます。

運動会前のおたより
運動会前の食生活につい
てのおたより
おたよりのデータ
”おたより”で使用した
データ。子供にも保護者
にも理解しやすく

指導の場は、1.朝会などでの一斉指導、2.給食時間を活用した学級訪問や配布資料による間接指導。また、6月は学校公開を実施することが多いので、保護者への啓発として、3.食育授業参観、また7月には養護教諭と連携した指導として「夏休みの生活」についてそれぞれの立場から、4.おたより発行、の4つができたらベストです。指導内容・おたよりのポイントを次のようにまとめてみました。

【朝ご飯の大切さ】

一日のスタートは、朝ご飯。朝ご飯を食べると体温が上がり、午前中のエネルギーが切れることなく、脳や体の活動を助けてくれます。人間の体は、寝ているうちに様々な栄養素やエネルギーを使い疲労回復・体力の修復等を行います。そのため、朝起きた時にはエネルギーなどすべての活動源が不足している状態なのです。特に脳のエネルギーは空っぽといっても言い過ぎではないでしょう。

朝ごはんは、主食を中心に主菜=主なおかず(卵・魚・肉などを使った料理)と副菜=その他のおかず(野菜・いも・豆の料理)、そして汁物=みそ汁やスープ(野菜・いも・豆製品など)をきちんととると、元気な一日をスタートさせることができます。

【バランスの良い食事】

朝ご飯の大切さでも述べましたが、主食・主菜・副菜・汁物という基本パターンを、毎回の食事にとりいれることによって、自ずと栄養バランスは整います。また、赤(たんぱく質・無機質)・黄(炭水化物・脂肪)・緑(ビタミン類)の3つの食べものの仲間を食べるようにしましょう。食事の基本パターンが揃わない時や外食では、3つの色の食べものを偏りなく食べるように心掛けて下さい。

【水分補給は渇く前に】

熱中症予防のためにも水分補給は大切です。のどが渇いたと感じる時は、かなり水分が不足して危険な状態ともいわれます。これからの季節は、定期的な水分補給を心掛けて下さい。また、水分補給は余計なエネルギーを摂らないためにも、水や麦茶がおすすめですが、運動時はスポーツドリンクなどもよいでしょう。

大留光子=昭和53年より東京都内4区を経て平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師の他、学校給食Web「おkayu(www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。


【2015年6月15日号】

<< 連載へ戻る