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学校給食は食育の教材【第9回】中学校での取り組みB

給食
節分給食の黒豆ごはん
いわしのつみれフライ
サツマイモの甘露煮、
吉野汁など
実践することで行動変容につながる

本号では、中学校の食教育のまとめとして、具体的な取り組みについて「3年間の食育計画例」とともに、東京都栄養教諭第1期生の飯島敬子先生(練馬区立八坂中学校)の実践、「スポーツ料理教室」を紹介いたします。3年間の計画については、表を参考にしてください。

■スポーツ料理教室

部活の中でも運動部の生徒は、日々トレーニングを行っているので、他の生徒に比べ、エネルギーや各栄養素の必要量が増加します。成長期でもあるためその必要分と、運動量に見合った食事の量と質や休養を確保することの大切さを伝えるため、平成21年度より「栄養教諭を中核とした食育推進事業(文部科学省)」の1つとしてスタートしたそうです。対象者は、各運動部員・顧問教諭・保護者で、夏季休業中の約5日間、部活ごとに実施。

中学校における食教育3か年計画
1年生
@中学校生活オリエンテーションにて、給食指導
A学級活動「授業規律と絡めた、箸の指導」
B生活リズム向上公開講座
「朝食をしっかり食べよう」
2年生
@保健体育「スポーツと栄養」
A道徳 「給食の食べ残しを考える」
B学級活動
「時間栄養学―自分の生活を振り返ろう」
3年生
@技術家庭「作物栽培を通して」
A消費者教育
「地場産物について」生産者から話を聞く
B進路指導「卒業後の食事」
全学年
@朝会講話の活用
A委員会活動
B行事との関連「文化祭」「給食週間」
CC給食時間を活用した指導「給食通信」
【実施内容】

9:30〜10:00「スポーツと栄養」講義/10:00〜12:00 調理説明と調理実習/12:00〜13:00 食事と後片付け/午後:部活動の後デザートタイム
☆小・中学校の栄養士、給食主任の協力で実施することができ、生徒たちは顧問と一緒に料理を作り、楽しく食事の重要性について理解を深めたそうです。

自分に合った食べ方を学び食べ方に変化が起こった

スポーツ料理教室では、運動量に合わせた「ご飯の量」を実際に計量して食べてもらい、給食でご飯を少ししか食べず残していた女子生徒が、「部活動や試合で頑張れないのは、食べ方に問題がある」と気づいてくれたこと、部活動(スポーツ選手)で頑張るためには、エネルギー源であるご飯の大切さを理解してくれたこと、なによりの成果は、生徒が給食で白いご飯を残さなくなったことで、そのことが一番うれしかったと飯島先生は話していました。

また、スポーツ料理教室実施後から生徒たちの給食の食べ方が変わっていったこと、部活動の顧問教諭から成長期の生徒たちの栄養特性について理解を得たことも大きな成果であり、「特に給食の残滓で悩んでいる学校にはこの実践をお勧めしたい」と言葉を結んでくださいました。

大留光子=昭和53年より荒川区他3区を経て、平成21年度に栄養教諭として江戸川区に勤務。平成25年3月退職。現在は、学校給食研究改善協会調理講師のほか、学校給食ウェブサイト「おkayu(http://www.okayu.biz/)」のディレクターを務める。


【2015年2月16日号】

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