連載:学校保健〜養護教諭は校内外のコーディネーター

【第14回】横浜市立大口台小学校(神奈川県) 吉澤千春養護教諭

児童のサイン見逃さず地域と連携した支援を

第14回は児童支援専任として校内外で活躍する横浜市立大口台小学校(田川斉史校長)の吉澤千春養護教諭を訪ねた。専門家・関係機関・地域と連携した健康教育について聞いた。

連携・協働を目指して組織で行う児童支援

同校では、学校・家庭・学校医や関係機関が連携し、それぞれの強みを生かした健康教育に力を入れている。その中で、吉澤養護教諭は心や体に課題を抱える児童への支援にコーディネート力を発揮している。

対象となる児童への支援は学校全体での検討から始まり、保護者や担任を交えたケース会議での検討、校外の関係機関との連携支援という流れで行う。吉澤養護教諭は、自身が児童支援専任である利点を生かし、児童指導特別支援委員会を運営。いじめや不登校の有無、保健室に来室する児童の状況などを教職員に発信し、課題の解決方法を考えるための場としている。

「登校しぶりや集団に馴染めない児童などの小さなサインを見逃さず、すぐに校内で共有することが早い対策につながる」と話す。

スポーツリズムダンストレーニングの様子
スポーツリズムダンストレーニングの様子

また同校は児童の健康づくりのため、学校保健委員会などの組織活動を重視し、PDCAサイクルを活用した運営体制を築いてきた。学校保健委員会では、毎年目標に沿って実施し、体験行事の手配も行っている。地域のヘルスメイトによる料理講座など、連携の対象となる機関は様々だ。

今年度は横浜市体育協会の協力を得て、体育講座を実施。児童や教職員、PTAが参加し、同協会が推進する「スポーツリズムダンストレーニング」を体験した。参加した代表児童はクラスで発信し、現在も楽しんで継続している。

「地域や関係機関の協力により、継続できている。連絡調整する中で、様々な専門家とつながることができた」

学校医との連携で健康の課題解決へ

SSWやSCなど、校外の専門家との連携にも力を入れている。専門家の助言を受けた上で家庭とも共有し、共に課題解決と健康の質の向上を目指す。特に学校医との連携は日頃から密に行っており、児童と保護者を対象にした健康相談は年4回実施している。吉澤養護教諭は、事前に対象希望者を決定し、学校医との打ち合わせを行う。相談後、校内では担任と連携した事後支援を行っている。健康相談のねらいなどは全教職員とも共有。児童と保護者への情報提供も積極的に行っており、体の成長や健康上の不安を抱える児童と保護者が利用している。

「校内外の連携は児童支援の鍵になっている。今後は幼稚園・保育園から中学校までの縦のつながりを意識して、健康づくりに取り組んでみたい」と意気込みを語った。

【2017年11月27日号】

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