連載:学校保健〜養護教諭は校内外のコーディネーター
第13回は今年度八王子由木西小学校に赴任した亀井美春主任養護教諭(以下、養護教諭)を訪問。同校は創立144年の歴史ある学校で、周囲を豊かな自然に囲まれている。
「前任校はマンションなどが建ち並ぶニュータウンの学校だったので、環境ががらりと変わった」と語る亀井養護教諭。子供たちの遊び方も全く異なり、サッカーや野球などのスポーツよりも学校林を駆け回ったり、虫取りなどを楽しむ児童が多いという。
個人のリズムに合わせ生活の目標を立てる
同校では生活習慣に対する児童の意識向上を目指し、月毎に「歯磨きを徹底する」「早寝・早起きをする」などの目標テーマを設け、チェックシートを実施している。月初めの朝会の際に亀井養護教諭がテーマを発表すると、児童はクラス毎にそれぞれの取り組み方を相談。テレビやスマホ、パソコンなどの使用時間の短縮を目指す「ノーメディア」がテーマの場合、個人の生活リズムに合わせて食事時間だけノーメディアから一日中ノーメディアまで5つのコースから選択する。
一人では取り組めないので、家族と相談して挑戦するコースを選択する児童も多い。
自然に囲まれた学校 |
「家族全員で取り組んでくださっている家庭もある。児童から学校の話を聞くなど、コミュニケーションの時間が増えたという保護者の声も聞く」と話す。保護者の声を聞きながら、テーマを設定していきたいと語った。
また、「歯磨きを徹底する」テーマでは、児童の実践意欲を高めるためにレベル毎の評価を行うなど、テーマ毎に評価や取り組ませ方の工夫をしている。9月は早寝早起きなので、個人の生活リズムに対応できるコース選択型にした。
チェックシートは毎月台紙に貼付していき、12か月分をまとめて保存している。毎月のテーマは学校HPでも公開しており、忙しい保護者も確認できるようにしている。「目標を決めると、児童も取り組みやすいようで、積極的な姿勢が見られている。今後も取組を継続していきたい」
保護者の協力得ながら今後は新たな取組も
昨年度の学校保健委員会では健康フォーラムを実施し、内科の医師による講演を行った。テーマは医学的にも健康に効果が見られる「笑いの効能」。多くのPTAとの交流の場になり、児童を取り巻く環境についても考える機会となった。亀井養護教諭は「今年度も講演会を開催し、健康教育を通してPTAとの関係づくりに努めたいと」語る。
さらに、10月の視力検査の際には、目に良い食べ物や体操、学習時の姿勢について児童に保健指導を行うが、保健だよりでも発信し家庭での指導につなげたいとする。
今後の保健活動については、「さらにテーマを絞って、深く掘り下げられるような取組も考えてみたい」と意気込みを語った。
【2017年9月18日号】
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