連載:学校保健〜養護教諭は校内外のコーディネーター
養護教諭の複数配置体制をとる東京都立竹台高等学校を訪問した。同校の山ア実佳主任養護教諭は、今年で赴任6年目。今春異動してきた金澤美加子主任養護教諭とともに生徒の主体性を尊重しながら活動している。
生徒調査で傾向知り講演会に活用する
インターネット依存やアルバイトで高校生の生活習慣に乱れが生じるケースは多い。同校でも寝不足による体調不良で保健室に来室する生徒が増えている。学校生活への影響を心配した山ア養護教諭は、同校で実施している外部講師による講演会の活用を決めた。
この講演会は毎年学校保健をテーマに行っている。準備段階では全校生徒を対象にしたアンケートを実施し、講演テーマに沿って生徒の生活傾向を調査。講師と結果を共有し、講演内容に盛り込む。
そこで、今年度の講演テーマを「パフォーマンスを上げる睡眠とは」に設定し、実態調査を行った。その結果、大半の生徒が深夜遅くに就寝していると回答。「生徒自身の意志や将来と関連付けた指導が必要。本来の目的を見失わずに生活習慣を組み立てる術を身に付けさせたい」
「パフォーマンスを上げる睡眠とは」をテーマにした講演会の様子。生徒の意見を聞くなど参加型の内容になっている |
講演では生徒の集中力と学校生活におけるパフォーマンスを高める睡眠について指導する予定だ。講演会後も生徒に正しい生活習慣を定着させるため、保健委員会の生徒は講演テーマをさらに掘り下げた調べ学習を行う。
課題を深く追求する委員会活動の実践
9月に行われる文化祭での展示発表を目標とし、保健委員会の生徒は山ア主任養護教諭のアドバイスを受けながら各自の課題を決める。「調べ学習が苦手な生徒もテーマを提案すると進んで取り組んでくれている。深く掘り下げて考えた経験は自然と頭に残るようだ」
夏休み中に保健室で課題に取り組む姿も見られ、生徒の努力は担任の理解にもつながっている。
自校の実態捉えてデートDVを考える
毎年12月には3年生を対象にした思春期講座として、荒川区内のNPO法人によるデートDVの授業も実施。同校の生徒が出演したドラマ仕立ての自作DVDの活用や生徒の実態を測る事前調査など、啓発と実態把握の両面に力を入れる。
山ア主任養護教諭は事前調査の際に担任と綿密に情報共有し、生徒への配慮を特に意識している。「もしもDVを経験している生徒がいたら、授業が辛い時間になってしまう。担任と連携しながら生徒の心のケアに取り組んでいる」と語る。
【2017年7月24日号】
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