連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 66回

大きな記事が決まる判断・基準とはー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男ー

「最大多数の最大関心事」を初・新・大など見出しで表現

第1面・縦題字のすぐ横の記事(トップ記事)は、その日のニュース等で一番価値のあるもの(重要な・読者に特に知らせたい)と、その新聞社が判断した記事です。あくまでも当日の記事の中での相対評価で決まります。前日の二番目の記事よりニュース・バリューが低いかもしれませんが過去の見出しとは比べません。

この一番重要な記事は、すべて置かれた位置が右上というだけでなく、その日の記事の中で、見出しの文字や面積も一番大きいです。記事本文の多さには関係ありません。さらに、トップ記事には本文と大見出しの間に、リード(前文)という1段の文字数を本文より多くした「要約」を置きます。このことは第1面だけでなくどの紙面でも記事に重要度・優劣を付けて割付を行っているのです。

さて、トップ記事になるニュースとはどのような記事でしょうか。また、見出しにどんなことばが使われているのでしょうか。社会面やスポーツ記事などで考えてみましょう。

一言でいえば、「最大多数の最大関心事と多数が知らないことを多くに知らせること」ということになります。まれな出来事・新記録、有名(著名)な人の活躍・活動、身近な人の活躍や出来事、珍しい出来事などで、「初・最高・最多・新・大・連続・○○振り・快挙」などという語が見出しに付くことが多いです。

「犬が人を噛みついても記事にならないが人が犬を噛むと二ュースになる」と言われます。人が犬を噛むことは希なことなので記事になるのです。では犬が人を噛んで大きな記事になる場合とはどんな時か例を挙げると、その犬が狂犬病にかかっていた。有名な人の飼い犬だった。コンテストで優秀な賞をとった犬だった。噛まれた人が多数で死亡した人もいた。凄い肩書きの人が噛まれた…など。

2008年の北京五輪の報道で、ある地方紙のA日報では、レスリングで銅メダルの女子選手がトップ記事かつ大見出しで、金メダルの女子選手がそれより小さな扱いでした。銅メダルの選手の地元紙だったからです。今年、2017年1月30日のある全国紙のスポーツ面のトップ見出しは「快挙2分6秒67―競泳・200平 渡辺が世界新」。記事を読むと5年振りの世界新、しかも初めての6秒台という記録で、トップ記事にふさわしい言葉がいくつも見出しにありました。また、第一面でも大きく扱われました。

皆さんも初・新・大などの付いた、大きな記事を探してみてください。

 

【2017年2月20日号】

関連記事

連載

<<健康・環境号一覧へ戻る