連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 60回

「通信社」の仕事と役割ー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男ー

新聞を発行しない新聞社 世界のニュースを配信

新聞社の大きな仕事は、新聞をつくって印刷・配達することだというのは、ほとんどの人が知っているでしょう。

では、皆さんは新聞を発行しない新聞社があることを知っているでしょうか。

「そんなばかな」と思うかもしれませんが、世界にはそのような新聞社があり、通信社と呼ばれています。
では、どんなことを商売にしているのでしょうか。

平成12年発行の『大辞泉』(小学館)第二版には次のように書かれています。〈ニュースを取材し、新聞社・放送局・雑誌社などに提供する会社。米国のAPやUPI、英国のロイター、ロシアのイルタス、中国の新華社、日本の共同通信など〉

毎日・朝日・読売などの全国紙は、各県にいくつかの支局(新聞社によっては総局)を置き、全国のニュースを集めるために数千人の記者が働いています。

このような方法で全世界のニュースを集めるためには、1つの新聞社で何万人もの記者(特派員)が必要になりますが、費用の点からみても難しいと考えられます。

実際には海外に20〜30程度の支局を持っていますが、それらの支局だけでは全世界のニュースをまかないきれません。そのため、海外の通信社に頼らざるを得ず、それらの通信社から記事を送ってもらいます。
AP・UPI・ロイター・AFP(フランス)は世界の四大通信社と呼ばれ、世界のほとんどの国々に記者を送っています。

配信された記事や写真などには、「AFP時事」とか「トムソン・ロイター」などのクレジットが入っています。

また、送られてきた記事はそのまま載せることになっていますが、記事の終わりの方を切り捨てることは許されています。

このことは、記事の重要な部分を初めの部分に書くことからも分かります。

通信社の中でもっとも古い歴史を持っているのはイギリスのロイター(1849年設立)ですが、ロイターはもともとインドや新大陸など植民地での穀物金属の相場を本国に速報することから出発しました。

2008年にはカナダの大手企業トムソンと経営統合し、「トムソン・ロイター」となり、現在も世界中の情報を発信しています。

また、日本国内には共同通信と時事通信の2つの通信社があり、地方紙の多くは、国内のニュースに関して、それらの通信社の配信を受けています。

国際面の記事や外国のニュースには、この通信社の名前が入っているので確認してみてください。

 

【2016年7月18日号】

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