連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 59回

国名の意味などを調べようー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男ー

世界の国名から見えてくる政治と略称の意味に触れる

総合面、国際面などに、さまざまな国の名が登場しますが、その中で注目されるイベントの1つがサミット(主要7か国首脳会議―G7)ではないでしょうか。年1回、7か国の持ち回りで開催されますが、今年は5月26日、27日の両日、伊勢志摩サミットと名付けられ、三重県志摩市賢島で行われました。本号はこの参加国を中心に国名について考えます。

この7か国のうち、短く略して表記する国が2つありますが、分かりますか。それは米国と英国で、アメリカ、イギリスと書くと記事の文字数が増えるので略します。他の日本を除く4つの国は、フランス・ドイツ・イタリア・カナダで、これらの国をもっと短く略すと、仏・独・伊・加です。

明治の初め、日本と繋がりの深い国の名前を漢字に直し、亜米利加・英吉利・仏蘭西・独逸・伊太利亜・加奈陀とし、その1字を取ったものです。アメリカを亜としなかったのはアジア(亜細亜の略)と紛らわしくなるからだと考えられます。

アメリカ、イギリスなどと書いた7か国のうち正式名はカナダと日本だけで、アメリカやイギリスも略称です。正式名は、アメリカ合衆国、グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国、フランス共和国、ドイツ連邦共和国、イタリア共和国です。イギリスは、イングランド、ウェールズなどの4つが統合された国で、スコットランドは2014年に独立の是非を問う国民投票で話題になりました。サッカーでは、それぞれが別々に出場しています。

また、今回のサミットにおいて、国のトップ(元首)が出席しているのはアメリカとフランスだけです。イギリスとカナダの元首はエリザベス女王(他にもあります)で、日本の天皇のように具体的な政務は首相が行っています。ドイツやイタリアには大統領がいますが、首相が内閣を組織し、主な政務を行っています。

世界の国名を調べてみると、「共和国」が付く国がとても多いことが分かります。共和とは皆で共同協議して進めるという意味で民主的国家の形成に欠かせません。国名にはそれぞれの国の政治の方法が表れています。

しかし、「人民共和国」や「民主主義人民共和国」が付いているにも関わらず、実態はとんでもない国―建て前で付けた国名もあります。

一方、国旗の方は国への愛着、理想や願いを込めて作られていることが多いので、国旗についても調べてみて下さい。

 

【2016年6月20日号】

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