人と動物が共有できる世界へ
人材を育成し排出を
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| 新たに完成した地上5階建ての3号館 |
総市場規模は１兆4689億円（矢野経済研究所調べ）のペット産業に貢献できる人材の養成施設であるヤマザキ学園（山﨑薫理事長・学長）は、来年で学園創立50周年を迎える。周年記念事業の一環として今年３月、東京・八王子のヤマザキ学園大学南大沢キャンパスに３号館を竣工し、より多くの優れた人材を育成できる環境が整った。
同大学はこれまで、学年によって渋谷と南大沢の２つのキャンパスで学んでおり、４年間を通して一つのキャンパスで学べる環境が求められていた。先輩が学ぶ姿を手本とするという点からも、学生全員が一つのキャンパスで学ぶ意義は大きい。
そのような状況にプラスして、獣医やトリマーは常に人手不足で、動物病院や動物関連産業では、多くの人材が求められているという社会的背景も後押しした。
同学園は、1967年に山﨑良壽氏が、世界初のイヌのスペシャリスト養成機関として「シブヤ・スクール・オブ・ドッグ・グルーミング」を開校した。その後、94年には学校法人認可を取得し、2004年に３年制のヤマザキ動物看護短期大学、そして10年に４年制のヤマザキ学園大学が開学した。
山﨑理事長・学長は、「ヤマザキ学園の歩みは日本の動物愛護普及の歩みでもあった」と語る。学園創立から６年後には「動物の愛護及び管理に関する法律」が制定された。だが、「動物が命あるもの」として法律に明文化されるのは1999年。26年ぶりの法改正であった。
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| 山崎薫学長 |
動物愛護の精神が社会的にも広がりを見せる中、それに応えるべく同学園も規模の拡充を図り続ける。完成した地上５階建ての３号館は、８室の講義室を備える。これにより長年の望みであった４年間の一貫教育が実現。山﨑理事長・学長は「人と動物が平和に楽しく暮らしていける共生できる社会」を現実のものとするため、それを支える人材の養成と輩出に努めると話す。
殺処分ゼロを目指し国民一体の環境作り
５月14日には３号館の竣工披露記念講演会が行われ、講師として環境省自然環境局動物愛護管理室長の則久雅司氏が人と動物が共生可能な社会について語った。
環境省では2013年11月に「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」を立ち上げた。
「殺処分をできる限り減らし、最終的にはゼロにする」ことが目的で、「飼い主の意識向上を図る」「飼い主から動物愛護センターへの引き取り数を減らす」「引き取った犬猫の飼い主への返還や希望者への譲渡数を増やす」の３点に取り組んでいる。
「健康なペットが処分される状況を無くしていくためには、国や自治体、そして国民が一体となった取組が求められる」と則久氏は語った。
【2016年6月20日号】
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