厳しい状況下に弱い日本人高校生
国立青少年教育振興機構は、平成27年度に高校生を対象として実施した「高校生の安全に関する意識調査」について、米国、中国、韓国との比較を報告書としてまとめた。事故、けがや病気、友人や他者とのトラブル等による被害、防災や防犯行動、交通安全や野外活動での安全行為、食の安全確認や自身を守る行為、安全教育などの項目で紹介されており、日本の高校生は被害経験が少なく、危機回避意識や自然災害への関心は高い一方で、積極性と判断力が低いことも明らかとなった。
「けが」「事故」は総じて少ない日本
「階段から落ちた」「草木でかぶれた」など11の事故やけがを例示したところ、事故の割合が最も高いのは米国で、11事例のうち7事例で最も高い割合を示した。日本の高校生は11事例のうち、「階段から落ちた」が49・5%と最も高い。
「擦り傷」「切り傷」「熱中症、熱射病、脱水症状」などけがや病気など13の例示では、最も多い擦り傷は韓国以外で70%を超える。日本が4か国中で最も高い割合となった事例はなく、ここでも米国が9事例で高い割合を示した。
「目の前で悪口を言われたり、からかわれた」「仲間外れにされた」などの日常生活での被害経験が多いのは米国で、7項目中、4項目の割合が最も高く「仲間外れにされた」が最も高い60・9%。日本は7項目のうち「目の前で悪口を言われたり、からかわれた」が35・7%と高い割合を示した。
食の安全・自分を守る 中国の割合が高い
危険回避行為については、防犯、交通安全、野外活動の安全、食べ物の安全確認、自己防衛など22項目をあげて質問。
防災・防犯行動については、「施設では、非常口を確認するようにする」「濡れた手でコンセントをいつも触らないようにする」と回答した割合は、日本が最も低く、日本が最も高い項目はなかった。
食の安全や自分自身を守る行為については、特に中国の高校生の意識が高く、特に食とネット被害については高い割合を示した。日本は飛びぬけて高い項目はなく、「消費期限が過ぎた物は、食べないようにする」の割合が44・7%と4か国中最も低い。
日本の安全教育は実施割合が高い
安全教育については、4か国ともに「交通安全」「火災時の避難訓練」「地震や台風など自然災害時の避難訓練」を受けたことがあるという割合が、75%を超えた。日本は11事例中、「交通安全」「地震や台風など自然災害時の避難訓練」「インターネットによる被害の予防」「病気の予防」「運動中のけがの予防や処置」の5事例について4か国中トップとなった。
積極性や判断力に関する項目では、7事例中「自分の意思を持って行動できるほうだ」「厳しい状況の中でも落ち着きを維持することができる」「世の中の出来事や、時事問題などに関心がある」「物事を慎重に考えるほうだ」の4つについて、「とてもそう思う」と回答した高校生の割合が、4か国の中で日本が最も低いことがわかった。
特に「厳しい状況の中でも落ち着きを維持することができる」についての割合が低く、米国が33%であるのに対し、日本は15・8%と約半分だ。
同調査は、日本17校(1832名)、米国18校(1540名)、中国24校(2584名)、韓国62校(1800名)を対象に昨年秋・冬に行われた。
【2016年6月20日号】
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