新連載:学校保健〜養護教諭は校内外のコーディネーター
阿南京子養護教諭(左) 末永彩華養護教諭(右) |
第1回目は、千葉県野田市立南部中学校(鈴木信人校長/生徒数882名)の阿南京子養護教諭と末永彩華養護教諭の活動を紹介する。阿南養護教諭は同校に赴任して5年目、今年度で定年を迎える。末永養護教諭は新採から4年目の春を迎えたところだ。同校は、複数配置だが、「誰もが入りやすい保健室」「けじめある保健室」を目指して、二人でバランスを取りながら保健室運営に努めている。
健康診断の変更は校医と情報共有を
春の保健室は健康診断で忙しい時期だ。阿南養護教諭はこれまで、健康診断について校医と話す機会を大切にしてきた。今年度、児童生徒の健康診断が大幅に変更されたが、その点も校医と話をした。
四肢の状態に関する内容について、内科検診で整形外科的な内容を行うことにやや戸惑いがあったため、内科医としての意見を尋ねたところ「診断だけが目的ではなく、調査票を記入することによって、体に対して親子で関心を持つことが重要」と話す校医の言葉に、「目からウロコが落ちる思い。校医に直接お聞きして良かった。他校の養護教諭にもこの言葉を伝えていきたいと思った」と話す。
来室情報は担任と保護者をつなぐ
ケガと病気で色分けした来室記録用紙を、1枚にまとめて担任に渡す |
また、保健室の来室者情報を他教諭と共有するため、同校の保健室では独自の方法で来室記録を活用している。
「ケガ」と「病気」に分けて個別に名前や症状などを記入させ、保健室で集計ソフトに入力した後にクラス別にまとめ、その日のうちに担任に渡している。来室後に部活に出た際の様子も、気になる生徒については担任から保護者に連絡をとってもらい、その後の様子など確認がとれるようにしている。これは、学校と保護者の信頼関係にもつながっていると思われる。
保健室が互いの情報を蓄えた「情報の基地」として、また、「情報の発信の場」としても重要な場所となるよう意識しているという。
もちろん、校外からの情報も重要だ。末永養護教諭は、「『南部中地域三大イベント』などに積極的に参加している。『南部中の養護教諭』として地域や保護者の方に顔を覚えてもらい、接点を持つように心がけている」と話す。養護教諭にとって、地域との連携は課題の一つだ。
末永養護教諭は大学時代に様々なアルバイトを経験したり、県教委が行う「ちば!たまごプロジェクト」に参加し、社会経験を積んだ。「社会に出る前に、様々な経験を積むことは、養護教諭としても社会人としても生かされていく」と2人は口をヨえる。多くの人とコミュニケーションをとる機会を増やすことが、連携への一歩につながるのだろう。
【2016年6月20日号】
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