食育月間特集

20代・30代に課題<食育白書>

第3次計画の重点課題で改善を

食育の担当が内閣府から農林水産省に移管して初めての「食育白書」が公表された。平成28年度の食育白書は、27年度に講じられた食育推進施策について整理し、説明されたもの。23年度から27年度まで「第2次食育推進基本計画」(以下、第2次計画)に則って続けられていた食育施策の成果と課題が見えてきた。特に20、30代の若者世代の食育が今後の大きな課題だ。

平成27年10月に内閣府が行った20歳以上を対象にした「食育に関する意識調査」では、「日頃から健全な食生活の実践を心掛けている人」の割合は、76・6%と昨年度の75・3%から1・3%上昇。昨年度と同様に国民の4人中3人に当たる。

主食・主菜・副菜をヨえるなど栄養バランスに配慮した食生活の実践は、1日に2回以上、「ほぼ毎日」と回答した人は全体で約6割。一定の評価はできるが、年代別にみると20、30代の割合は低く、20代で男性40・4%、女性39%、30代で男性42・3%、女性47・5%となった。特に男性は40代、50代においても5割を切っている。

食生活や食育への関心は低い若い世代だが、食育で関心のある内容については、「食事に関するあいさつや作法」や「食を通じたコミュニケーション」など、正しい作法の習得や家族で食卓を囲むことなどへの意識は、他世代より高い。

第2次計画で重視されていた「共食」については、家族と一緒に暮らしている人のうち、「ほとんど毎日」家族と一緒に食事をとっていると回答した割合は、朝食では54・5%、夕食で64%。

地域等での「共食」へ対する意識もあり、「地域や所属コミュニティーで食事の機会があれば参加したい」人の割合は、47・7%と2人に1人は「参加したい」と考えている。
 過去1年間に地域等での共食への参加を聞いたところ、64・6%が参加しており、「コミュニケーションを図ることができた」や「楽しく食べることができた」などの感想の割合が高い。

2次計画の目標値6項目で「改善」

第2次計画の中で、数値目標として定められた11項目(13目標値)のうち、作成時に比べ「改善」した項目は、次の6項目だ(カッコ内は目標値)。

■食育に関心を持っている国民の割合=70・5%→75%(90%以上)

■朝食または夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数=週9回→週9・7回(週10回以上)

■栄養バランス等に配慮した食生活を送っている国民の割合=50・2%→63・4%(60%以上)

■農林漁業体験を経験した国民の割合=27%→36%(30%)

■食品の安全性に関する基礎的な知識を持っている国民の割合=37・4%→63・4%(90%以上)

■推進計画を作成・実施している市町村の割合=40%→76・7%(100%)

学校給食に関する項目では、地場産物を使用する割合が目標値30%以上に対し、現状値は26・9%、25年に追加された国産食材を使用する割合は目標値80%に対し現状値77%だ。

食育白書には、文部科学省が取り組むスーパー食育スクールの実践事例についても、紹介されている。平成27年度は全国で30事業(35校)が指定された。

東通村立東通小学校(青森県)では、肥満傾向児出現率の低下を目指した取組として学校給食の時間における指導、食・健康に関する授業、運動の推進と体重計測を実施。

学校給食では、栄養管理システムを活用して、推定エネルギー必要量の3分の1を提供する目標量として設定するなどの取組を、体重計測は4年生から6年生に月2回実施した。特に5年生の肥満傾向児出現率が、4月と1月を比較して12・2%減少するなど大きな変化が見られている。

今年度から始まっている「第3次食育推進基本計画」では、今後5年間に取り組むべき重点課題として、@若い世代を中心とした食育の推進A多様な暮らしに対応した食育の推進B健康寿命の延伸につながる食育の推進C食の循環や環境を意識した食育の推進D食文化の継承に向けた食育の推進を挙げている。

 

【2016年6月20日号】

 

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