6月11日、12日の両日、福島県郡山市で「第11回食育推進全国大会inふくしま」が開催され、「チャレンジふくしま!おいしくたのしく健康長寿〜復興のあゆみ。全国のみなさまへ感謝の気持ちを込めて〜」をテーマに、福島県の食育を中心に様々な活動が紹介された(主催=農林水産省、福島県、第11回食育推進全国大会福島県実行委員会)。来年度は6月30日、7月1日に岡山市で開催される予定。
震災後に多くの県民の心の支えとなった 「ふるさと」を歌う郡山市立大島小合唱部 |
11日には開会式が行われ、オープニングイベントには、地元の福島県立いわき総合高等学校のフラダンスチームと、郡山市立大島小学校の合唱部が登場。会場のビックパレットふくしまは、5年前の東日本大震災時に多くの避難者であふれた場所。大島小学校合唱部は、支援で訪れた人の多くが歌った「ふるさと」を歌いあげ、会場は復興を願う思いに包まれた。
開会式で森山裕農林水産大臣は「福島県で東北ブロック初の食育推進全国大会を開催できたことをうれしく思う。今年3月には第3次食育推進基本計画が作成され、4月には食育が内閣府から農林水産省に移管された。関係各所との連携のもと積極的に取り組んで参りたい」とあいさつ。
内堀雅雄福島県知事は「避難生活により、子供のむし歯が増加するなど健康面の悪化が起こっている。企業、市町村と連携し新たな県民運動を展開し、全国に誇れる健康長寿県を目指したい」と述べた。
若い世代同士の食育 循環する活動に
開会式では、「平成28年度食育推進ボランティア表彰」の表彰式が行われ、宮城学院女子大学FAS(ファス)、など10団体(人)に、森山農林水産大臣から表彰状が授与された。
表彰者代表によるシンポジウムでは、若い世代が取り組む3つの事例が紹介された。愛媛県立宇和島水産高校は、魚離れを懸念し、平成17年から水産食品科を中心に、水産業を盛り上げ街に活気を取り戻そうと2つの活動を柱に、地域と連携した食育を始めた。
まず、幼・保・小への魚食教育活動。市が行う食育の人材バンクに生徒が講師登録し、講師として園児・児童と共に郷土料理体験を実践。昨年度の人材バンクの利用は全体で35件あり、その内10件が同校を希望する活動であったという。
指導に当たっては、学校で学んだ専門的な知識や技術に加え、専門家から郷土料理の作り方を学び、自分たち自身も学ぶ姿勢を忘れない。
2つ目の柱は、同校女子生徒が結成した「フィッシュガール」の活動だ。県と地元企業との産学官連携によるマグロの解体ショーを日本や海外で行う他、県内団体と共同で県産品PR向けの商品を開発している。
発表者の小西由真さんと松本唯さん(3年)は「私たちより若い世代が食育活動に携わり、地域活性化に取り組んでくれるような循環を作りたい」とまとめた。
その他、奈良県内にある管理栄養士養成課程を持つ4つの大学と県が連携した「ヘルスチーム菜良協議会」、子供たちに様々な食体験を作っている大分県の「弥生母親クラブ『ほっとまま』」の活動が発表された。
3団体の発表を受け、食育推進ボランティア表彰の審査委員長を務める足立己幸氏は、若い世代が意欲的に取り組む食育を高く評価。パワーあふれる発表で会場をにぎわせた宇和島水産高校へは、「これぞ若さ。自分たちのレベルで煮詰めてきたことを、自分たちだけでなく先生や専門家に相談して考えていた。今後は小さい子供たちが自ら意思決定をする場を作っていくことが大事」とアドバイスを送った。
【2016年6月20日号】
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