前回(第57回)で、「扁平の活字はなぜ作られたのか」と問い掛けました。作られた頃(1941年頃)は戦争中であり、紙不足のなかで記事をたくさん入れるために小さくなった活字を大きくみせるために考えられた工夫です。前回、縦は約3・0ミリメートル、横3・8ミリメートルと書きましたが、これは現在の文字の大きさで、当時はもっと小さな文字でした。
様々な字体の文字 −新聞の広告より |
見出しは、本文の要約、記事の中で一番訴えたいことなどを短い文(通常の新聞では10字程度)にしますが、その時、読者を引き付ける工夫が大事です。
しかし、読者を引き付けるのは"ことば"だけではありません。そのデザインもポイントとなります。
例えば「インフルエンザ流行の恐れ」のような見出しのバックに半円形の波形を付けると影響が広がるだろうという印象を与えることが出来ます。
飛行機墜落事故や重大な事件の容疑者が逮捕されたなどの記事では、黒く塗り潰した上に白抜き文字を入れることが多く、いい記事か悪い記事かが分かるようにデザインしています。
ほんわかする・温もりのあるニュースでは文字の角を滑らかにしたり、文字に膨らみを持たせたりするとよいです。
まとめますと、(1)筆記具の種類を変えて書き、文字の印象を変化させる‐クレヨン、筆ペン、フェルトペン、色鉛筆など(2)文字の字体を変える‐明朝体、ゴシック体の他、ポップ調、教科書体、のっぽな文字、斜体、細い線を連続させて文字にするなど(3)文字に手を加える‐太く書いた文字の回りを線で囲む、影を付ける、立体文字に仕上げる、袋文字の白い部分を点描したり、斜線を入れたりする(4)文字を飾る‐地紋の上に文字を書いたり、地紋を切り抜いて文字にする、地紋を細かく切って文字の回りに散りばめるなどの工夫ができるでしょう。
手書きの家族新聞などをつくるときには、見出しを魅力的につくることがとても大事です。新聞の広告には、字体のデパートといえるほど様々な文字が使われていますので、新聞づくりの参考にして下さい。
【2016年4月25日号】
関連記事