現場の声を施策に反映

養護教諭6団体が連携を強化
連絡会が設立

社会変化に伴い子供たちの生活環境が複雑化・多様化する中、心身の健康問題はより深刻化している。そこで活躍するのが養護教諭だ。「チーム学校」が推進される中、その役割は、より重要となっている。一方で、法制度を含む環境整備等の一層の充実が喫緊の課題だ。そんな中、3月12日には日本養護教諭教育学会を始めとする6団体が発起団体となり「養護教諭関係団体連絡会」が設立された。代表者は、日本養護教諭教育学会理事長で愛知教育大学学長の後藤ひとみ氏が務める。

再度の立ち上げで
運営体制を強化

同連絡会は平成19年にも同名の連絡会として立ち上がった。代表の後藤氏によると、今回は、6団体が発起人団体として設立趣意書を作成し、設立の趣旨や経緯を明示した。

さらには会則を定めることで同連絡会の目的や事業、運営体制などが多くの人に理解できるようにしたという。

前組織は、同年に出された中央教育審議会スポーツ・青少年分科会学校健康・安全部会「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について(審議経過報告)」に対するパブリックコメントを提出するに当たり、養護教諭関係団体が意見表明を行うことで確実な施策となることを期待して、日本養護教諭教育学会が呼びかけて立ち上がった。

その結果、同年12月20日に6団体の連名により意見を提出するに至った。

社会的責任を果たし
チーム学校への寄与も

今回は昨年8月に中央教育審議会「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について(中間まとめ)」が出され、同年10月には答申案がまとまり、さらに11月には「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申〈素案〉)」が出されたことから、社会や国民の期待に十分に応え得る養護教諭の資質能力の向上に向けた施策実現のために、養護教諭関係団体が一体となって意見表明する意義が大きいと考え、6団体の協力が不可欠かつ社会的責任を果たすために必要と設立に至った。

現状では、養護教諭の養成教育、初任者や経験者の研修、保健室の環境整備、養護教諭の複数配置等の物的・人的条件の整備や法制度の整備等、課題が山積している。

組織の確立により、6団体が一体となって所轄官庁や議員等へ要請・要望を行うことで、短期的かつ長期的な視野に立った課題解決につなげていくことができると同連絡会では考えている。

昨年11月19日には後藤代表と役員が馳浩文部科学大臣に、養成・採用・研修の充実に向けた要望書を提出。

チーム学校を支える一員として、他教諭と同様の配慮をしてほしいこと、また養護教諭の制度設計を立てる際には同連絡会を起用してほしいことなどを伝えた。

実践的・学術的な
エビデンスの提供を

後藤氏は、「本連絡会において合意した意見を表明することで、養護教諭の資質能力の向上に関する様々な施策の実現に大きく貢献していきたい。養護教諭の養成教育や現職教育に造詣の深い団体が集まり、実践的かつ学術的な立場での意見表明はエビデンスを提供することになり、確実な実現への大きな力になるものと思われる」とコメントを寄せた。

発起団体=日本養護教諭教育学会、全国養護教諭連絡協議会、日本養護教諭養成大学協議会、日本教育大学協会全国養護部門、全国私立大学・短期大学(部)養護教諭養成課程研究会、日本健康相談活動学会。

 

 

【2016年4月25日号】

 

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