日本語大賞

テーマは"私が使いたい言葉"

日本語大賞 表彰式
各部門の文部科学大臣賞の受賞者

2月28日、東京書籍本社ホールで、第7回「日本語大賞」の表彰式が行われた。「私が使いたい言葉」をテーマに作品を募集し、小学生の部806作品、中学生の部323作品、高校の部99作品、一般の部317作品が集まった。

伝達・思考・認識する「道具」
言葉は人を幸せにする

当日は、各部門の文部科学大臣賞受賞者4名が表彰され、受賞作品を朗読。特定非営利活動法人日本語検定委員会の梶田叡一理事長は、「日本語大賞も7回目となり、的確に表現され、構成・着眼点の優れた作品が多く集まるようになった。言葉は、伝達する道具というだけでなく、思考するときにも使う道具。さらに認識するときにも使われる。優れた作品をよいモデルとして世に示し、みんなで言葉を育てていきたい」とあいさつ。

父の"おかえり"に
込められた意味

小学生の部では、メキシコのアグアスカリエンテス日本人学校小学部4年生の野崎竜聖さんによる「『おかえり』が教えてくれた気持ち」が受賞。帰宅し、「ただいま」ではなく「おかえり」と言う父。最後に帰ってくるので、家族に「おかえり」と言えない父から家族への愛情が込められており、それに対する野崎さんの感謝の思いが綴られた。

祖母が大切にする
鹿児島の「よか言葉」

中学生の部では、大阪教育大学附属池田中学校2年生の吉田菜々穂さんの作品「よか言葉」が受賞。大阪在住ながら、鹿児島県の方言を話し続ける祖母が使う「よか」の意味を理解したある夜の出来事がまとめられており、文章の上手さが光っていると評された。

圧倒的な文章力が
光った高校の部

高校の部は、和光高等学校(東京都)2年・多田悠歩さんによる「虹色の言葉」が選ばれた。散文詩のように短文を効果的に使いながらも、「言葉は人を幸せにする」という主題が非常にわかりやすく示され、他を寄せつけない圧倒的な文章力で受賞した。

一般の部は岐阜県の伊藤喜治による「田んぼはおしゃれさん」が受賞。

審査委員の大池公紀氏(全国高等学校国語教育研究連合会会長)は、「思いがしっかり書き込まれた作品が多く、審査をしながらも豊かな時間が過ごせた」と講評。文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課の助川隆氏は「どの作品も言葉の温かさが感じられる。『いつでもだれでもどこでも学べる』という生涯学習社会を目指して、学びを継続し、この成果を地域・社会にぜひ還元してほしい」と述べた。

 

【2016年3月21日号】

 

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