図書館活用の促進と調べる学習の普及を目的とする「第19回 図書館を使った調べる学習コンクール®」(主催=公財・図書館振興財団)の受賞作品が決定。2月27日に都内で表彰式が開催され、小学生から大人まで国内外から集まった作品7万56点の応募から決定した入賞31点の応募者と地域コンクールの主催3団体に表彰状が授与された。
7万56作品から審査
表彰式で、審査員長の銭谷眞美氏(東京国立博物館館長)は、「今年の応募作品は身近な生活上の疑問を丹念に調べた作品が多かった」と講評。
受賞者に贈られた盾には星がついており、星の5つの「角」はコンクールが求める5つのねらいを表す。銭谷氏は「学習で一番大事なことは、興味関心を持ったことを本や先生から学ぶこと、さらにそれだけでなく、みんなと学ぶのが学校。みんなで協力して学ぶことが大事であり、それがアクティブ・ラーニングにつながる」と語った。
5つのねらいをかみ砕くと、@不思議、と思う知的好奇心、A好奇心をもとに、図書館、人から話を聞く、情報機器を使う、などをして調べる、B調べた結果を読み取る力、知識力・理解力、CBをよく考えてみて、もっと調べたり、それでよいのか疑ってみる、D@〜Cをまとめる力。
発見≠竍好き≠ェ
調べる動機付けに
トビの羽を持ちながら、学習で得た感動や成果を報告する森田さん |
上位入賞の他、優良賞110点、奨励賞209点、佳作972点が選ばれた。同コンクールは個人の応募、学校・図書館・教育委員会といった組織単位による応募のほか、自治体単位で審査する「地域コンクール」がある。今回は過去最多の72市区町村で開催され、そのうち3団体が「図書館を使った調べる学習活動賞」を受賞した。
受賞者からは喜びの声と共に作品への思いが語られた。
「トビの生活におどろいた!+ノスリ」で小学生の部(高学年)の文部科学大臣賞を受賞した森田開さん(岩手県・紫波町立彦辺小学校5年)は、ある日見たこともない大きな羽を発見したことが「調べる」につながり、同コンクールに応募。
「何の鳥の羽なのか夢中で何冊も本を調べたがわからなかったが、羽専門の図鑑でやっとわかった。県立博物館で調べたり、本の著者に問い合わせたりした。トビが空で輪を描きながら餌をとる姿、母鳥が子育てする姿など、感動の連続だった」と、作品ができるまでを語った。
このほか文部科学大臣賞を受賞したのは、小学生の部(低学年)=志太瑛さん(東京都・文京区立湯島小学校1年)、同(中学年)=黒原佑斗さん(兵庫県・神戸市立樫野台小学校4年)、中学生の部=鳥海奏子さん(千葉県・袖ケ浦市立根形中学校2年)、大人の部=石川博啓さん(徳島県)で、高校生の部の該当作品はなし。
大好きなトンボをテーマにした作品を持つ遠山さん |
「大好きなトンボについて調べたぞ!やったぞ!びっくり!大発見!!」で「国連生物多様性の10年日本委員会」賞を受賞した千葉県・市原市立姉崎小学校3年の遠山陽人さんは、トンボの祖先の「メガネウラ」が恐竜より昔から存在していることに驚き、博物館で復元されたメガネウラを見るなどして調べた。
「トンボの羽には工夫が詰まっていることがわかり、調べる前よりも、もっともっとトンボが好きになった。調べている時、先生から君にはまだギンヤンマを捕まえるのは難しいよ≠ニ言われたけれど、ギンヤンマを一人でつかまえられて嬉しかった」と語った。
観光庁長官賞は、小学生の部(低学年)の籾山大空さん(東京都・墨田区立両国小学校1年)が受賞した。
地域コンクールで
児童生徒が多数参加
また、第2回のコンクール時から地域コンクールを開催している千葉県袖ケ浦市は「図書館を使った調べる学習活動賞」を受賞。
同市教育委員会学校教育課長兼総合教育センター所長の小川幸男氏によると、児童生徒の約7割が同コンクールに参加している同市では、学校司書の全校配置や「学び方ガイド」の作成等で、学習を支援しているという。
【2016年3月21日号】
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