平成27年3月、文部科学省は平成26年に設置した「『がん教育』の在り方に関する検討会」を経て、がんに対する正しい理解の浸透を進め、「健康と命の大切さを育む」という視点で、がん教育の推進について通知した。
愛知県内の中学校でプロジェクトメンバーが、副教材完成に向けて模擬授業(上)副教材の冊子 |
そんな中、特定非営利活動法人いのちをバトンタッチする会では、「小児がんへの正しい理解」と「いのちの授業」が進むことを願い、副教材を制作、4月から希望する全国の中学校に配布を予定しているほか、3月にはWebへも公開を予定している。
同会の代表・鈴木中人氏の長女・景子さんは、3歳の時に発病し6歳でその短い生涯を終えた。景子さんが亡くなって10年後、同会を発足。これまで様々な学校などで「いのち」を扱う授業を進めてきた。
昨年5月には、特定非営利活動法人ゴールドリボン・ネットワークと共同し、「小児がんを知りいのちの大切さを学校で学ぼう」プロジェクトを発足。中学生を対象とした冊子(A5判・16ページ)、授業指導案、授業事例DVDの3つを副教材として制作を始めた。
制作は、元文部科学省教科調査官(道徳)で現在昭和女子大学大学院教授(教育学)の押谷由夫氏、愛知県教育委員会指導主事や校長を歴任し、現在は岐阜聖徳学園大学教育学部教授を務める玉置崇氏、養護教諭の杉本春美氏など、現場のニーズを理解しているメンバーと小児がんの専門家が中心。学校での模擬授業を繰り返し、2月1日と3日には最終段階の授業を終え、発行へ向けて準備中だ。
副教材では、幼なくして亡くなった景子さんの思い、中学生の頃に小児がんを克服し今は看護師を目指しているマイさんの事例を紹介。自分ごとに置き換えて考えられる内容だ。授業は「道徳」「保健体育」「総合的な学習の時間」「保健集会」などを想定している。
【2016年2月15日号】
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