2月9日に行われた「いじめ防止対策協議会」で、いじめにより不登校となった疑いがあると認められる「不登校重大事態」についての調査の指針案が大筋で認められた。これまで30日を目安にしていた欠席日数だが、問題行動等調査において都道府県による認知の格差が見られるなど課題があった。指針案では、30日に到達する前から重大事態とされるべき事案が確実に重大事態として取り扱われるよう、設置者に報告・相談し、情報共有を図るなど丁寧に対応することが必要とされている。
同指針案では、不登校重大事態に該当するか否かの判断について、いじめ防止対策推進法第28条第1項に基づき、「学校の設置者またはその設置する学校」が重大事態に該当すると「認める」ときに行うものとされていることから、重大事態の判断は「設置者または学校」としている。
ここでいう「認める」とは、「考える」ないし「判断する」の意味であり、「確認する」「肯定する」といった意味ではないとされる。
報告時期等については、重大事態が発生したと判断した後「直ちに」(基本方針)行うものとされており、重大事態の場合は7日以内に行うことが望ましいとも記載されている。
また、公立学校において発生した不登校重大事態については、教育委員会として把握しておくべき事柄であることから、「各教育委員」にも説明すべきとした。よって、対処方針を決定する際は教育委員会会議を招集することとなる。
この不登校重大事態に係る調査は、事実関係を整理することで、いじめにより不登校に至った疑いがある児童生徒の欠席を余儀なくされている状況を解消し、学校復帰の支援につなげることが目的。
文部科学省では、「重大事態」の解説も併せて作成を進めていく。平成28年度はいじめ対策等総合推進事業として、スクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW)の配置拡充を予定。教育支援センターの機能強化等、不登校支援のためにSCを配置し、SSWはスーパーバイザーを配置することで、各々の質を向上させていく構えだ。
いじめ"見つけたら"を
テーマに子供サミット
また、この日の会議では1月23日に文科省で開催された「全国いじめ問題子供サミット」についても報告。全国46地域から小学生38名、中学生104名の計142名が参加し、「いじめを見つけたらどうする」をテーマに、ポスターセッションやグループ協議が行われた。
どんな工夫でいじめを止められるようになるか、についてグループ協議を行った結果、「クラスのきずなを深める。良いことや正しいことを恥ずかしがらずにできる雰囲気を創る。周りの人の意識を変えていく」「プラスのイメージの掲示物を作る」「先生にも協力してもらう。信頼関係を構築し生徒からの情報を受け止めて、いじめを許さない雰囲気づくりに協力してほしい」などの意見があがった。
参加した子供たちからは、「STOP!見るだけ先生 見るだけ生徒」と「勇気をもって心の声を伝えよう」が決意表明として発表された。
【2016年2月15日号】
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