一花一葉で「花育」を体験<墨田区立外手小学校>

法律施行が後押し

"マイ花瓶"に生ける
東京都花き振興協議会が指導
花育1
ガーベラとハランを使い思いおもいに生ける

花き(かき)産業及び文化振興を目的に、昨年12月「花きの振興に関する法律」が施行された。日本各地で子供たちへ向けた「花育」が数年前より行われていたが、この法律施行により、さらに盛り上がっていくことが考えられる。「花育」に取り組む団体の一つ東京都花き振興協議会は、農林水産省の「国産花きイノベーション推進事業」を活用し、都内の保育園や小学校を中心に「花育」を行っている。10月29日には東京都墨田区立外手小学校(山田明校長)で、いけばなの流儀の一つでもある「一花一葉」を用いた「花育」を開催した。

この日は東京都足立区にある(株)第一花きの松本頼明代表取締役社長の指導の下、6年1組が総合的な学習の時間に行った。授業の冒頭では、「いけばな」が室町時代に僧侶が始めたものであること、日本で最も出荷量の多い花きは"菊"であることなど、日本の花きの現状が紹介された。

ガーベラとハランで
 「一花一葉」を体験

続いて児童らは、キク科の花である"大輪ガーベラ"と寿司屋でお皿に乗せられている葉"ハラン"を使い、一人1つの花瓶に「一花一葉」を生けた。この花瓶は(株)クレイが花育専用で作ったもの。松本氏は「授業後は家庭に持ち帰り"マイ花瓶"として使ってほしい」と話す。

花育2
「花育」指導の実績が多い松本氏(左)

課題は"ハラン"を曲げたり、葉脈に沿って切り自分だけのデザインを作ること。「間違いはない。すべてが正解」という松本氏の言葉を受け、児童らは"ハラン"を切ってねじったり、結んだり、一人ひとりの個性あふれる作品に仕上げた。

「最初は楽しいのか半信半疑だったけど、最後は楽しかった」「ただ挿すだけだと思っていたけど、終わってみて"いけばな"ってすごいと思った」などの声が次々にあがり、その様子を見守っていた担任の青山哲士教諭は「花を生ける活動から、人の気持ちを考えられる優しい子になってくれたら」と話した。

指導者は効果を実感
 「教育に根付かせたい」

同協議会は昨年度、都内109校で花育を実施。副教材を用意し、ペットボトルで作る「ハンギングバスケット」、今回の「一花一葉」、季節の花で作る「フラワーアレンジメント」で花育を実践。松本氏は、足立区の保育園や小学校を中心に活動。

「今年は足立区で60くらいの保育園に行っている。2年目の活動となった園では、特に効果を感じている。最終的には教育の中に"花育"を位置付けてほしいので、これからも活動を続けたい」と話す。

 

【2015年11月16日号】

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