情報化社会という言葉を、今さら口にする人はほとんどいません。それが当たり前のことだと認めているからでしょう。
では、昔は情報を必要としなかった社会だったのでしょうか。いえ、人類がことばを覚え、文字を使うようになってからは、生きる上で情報が何より大切であったことには変わりがありません。いまと比べると情報の量が少なかった、伝達速度が遅かっただけです。コンピュータが普及し、情報量は天文学的数字になり、瞬時に全世界に伝わるようになり、非常に便利になりました。
もう1つ忘れてならない情報の特徴は、いまの情報の多くは、連続的な量を段階的に区切って数字で表す「デジタル」情報だということです。コンピュータはスイッチのオフ、オンを0,1とし二進法を元にしているからです。もし、数値を長さや動きなどの連続的に変化する量(「アナログ」)で示すと膨大な情報量が必要になってしまいます。デジタルの欠点を補うために連続的な量の区切り方をより細かくしています。
生活のなかでアナログ(量)、デジタル(量)で表現するものなどをあげ、デジタルの利点や欠点をまとめてみましょう。
【例】時計‐長針・短針で表す昔からの時計はアナログ(式)、液晶の数字で表す時計はデジタル(式)、私の腕時計は時・分はアナログ、曜日と日にちはデジタル表示ですが、午前3時頃になると曜日と日にちは変わります。体温計はデジタル式が大部分です。子供たちがよく使用する定規は、アナログ表示の代表です。
さて、新聞の記事はどうでしょう。ニュースや情報の多くはデジタルですが、アナログの要素も取り入れています。デジタルでは○×、AかBなど二者択一やよいか悪いかを求めることには便利ですが、考えることか疎かになり、安易に結論を出す傾向があるなどの危険性をはらんでいます。
新聞には図や表が多く載せられており、これはアナログです。天気図(略図)が毎日載せられておりますが、これはアナログの代表です。代表的な20都市程度のきょうの天気などの予報が北から順に一覧表になっていて、これはデジタル表示です。最後の那覇から上へとみていくと、記載のない都市の天気を予想出来ます。このようにデジタル情報をアナログ的にみることが大切で、新聞では「行間を読む」といわれる意味は、このアナログ的に読むことを言っているともとらえられます。
【2015年11月16日号】
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