連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 54回

ノーベル賞の記事から学ぼうー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男ー

受賞者の共通点を挙げ受賞理由をまとめてみる

今年、平成27年のノーベル賞は、10月5日の医学生理学賞に始まり、物理学賞、化学賞、文学賞と連続4日間にわたって発表があり、10月の第2週はノーベルウイークとなりました。医学生理学賞には大村智氏、物理学賞には梶田隆章氏に決まり、各紙とも何ページにも渡って関連記事を載せるなど大きく報道されました。

このノーベル賞はノーベルの遺言によって作られた賞ですがノーベルとはどのような人なのでしょうか。

ノーベル(1833〜1896)は、スウェーデンの化学(技術)者・実業家。父親の工場で爆薬の開発に従事したが、4人の犠牲者を出す爆発事故を起こし、これをきっかけに、安全に取り扱えるダイナマイトの発明、油田の開発などにも成功し富を得た。生涯独身であったが、晩年は平和運動に心をよせ、世界の平和と科学の発展を願う遺言により、莫大な遺産はスウェーデン科学アカデミーに寄与され、これを基金として1901年からノーベル賞が設けられました。

ノーベルのエピソードに、彼の兄が亡くなった時、新聞者がノーベルが死んだと間違い、"死の商人死す"という見出しを付けたのを見て愕然とし、社会に役立つことをしようと考えたというのがあります。

ノーベル賞は、世界最大の名誉・実績の賞ですが、その業績が人類の発展にどう寄与するかなど受賞理由が大事です。皆さんがよく知っているアインシュタインは1921年に物理学賞を授与されました。相対性理論の業績が受賞理由だと思っている人が多いですが「光電効果の法則」の発見によるものです。その当時、日食の観測などで相対性理論が正しいということは証明されていましたが、慎重を期して別の発見の方を受賞理由にしました。このことからも権威ある賞であり続けるため努力をしていることが伺えます。

(1)今回受賞が決まった大村氏と梶田氏の共通点を新聞記事などから挙げてみてください。例えば、努力・信念の人、人格が大らかで誠実、地方の国立大学を卒業したなどが挙げられます。昨年、物理学賞を受賞した中村修二氏も地方の国立大学(徳島大学)を卒業しました。

(2)2人の受賞理由となった研究内容をどちらかの人について、同じ年代の人に説明するつもりでまとめてみてください。

(3)新聞記事の中から、2人のことばや2人に関係する記事など、勇気や元気をもらったことばを抜き出してみてください。

 

【2015年10月19日号】

関連記事

連載

<<健康・環境号一覧へ戻る