表彰式で審査員と一緒に笑顔の受 賞者たち |
科学を軸にした自由な発想による研究の成果を、英語を使って国際舞台で発表することで生徒同士が交流を深める場となる「グローバルサイエンスリンク・シンガポール」が7月26日に開催された。2回目となる今年は昨年を5校上回る22校が参加した(日本9校、シンガポール5校、タイ3校、ベトナム2校、ブルネイ2校、台湾1校)。
グローバルサイエンスリンク(以下、GSL)は、2010年から始まった「つくばサイエンスエッジ」のプログラムがベース。発表の場をシンガポールに置くことで、参加者が必然的に英語を使う環境を作りあげている。
GSLは国立南洋理工大学(NTU)で開催され、オーラルセッション部門とポスターセッション部門で審査。各部門とも、審査員から英語での質問を受け、日本の生徒は質問に戸惑いながらも、英語力を高めようという思いをつなぎながら、質問に受け答えしていた。
ポスターセッション |
水族館で英語の説明を聞く参加者 |
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オーラルセッション部門では優勝こそ逃したが、東京大学教育学部附属中等教育学校の桑原嵩佳さん(高3)が、Innovative Awardに、ポスターセッション部門では、Best Delivery Through Poster&Explanation Awardに東京都立多摩科学技術高等学校の雨宮優子さんと北川綾さん(高2)が選ばれた。
桑原さんは、「シロアリと原生動物の関係」を研究発表。つくばサイエンスエッジでは未来志向賞をもらい、GSLに参加した。「外国の人たちと交流し、世界で活躍するには英語が必須だと痛感しました。今後は英語を一生懸命学びたいと思います」とコメント。
雨宮さんと北川さんは、「日本茶の種類によるアラニンの含有量の違い」について研究。「受賞名からすると、笑顔でジェスチャーを入れながら一生懸命説明したのが相手に伝わったのだと思います。今回参加して他校の人たちから様々な刺激を受けました。今後は英語の語彙力を増やし、聞きとる力も身につけたい」と語った。
文部科学省は昨年度から、国際的に活躍できるグローバルリーダーの育成を目指し、スーパーグローバルハイスクール事業をスタート。指定校には英語で研究成果を発表する場に参加するよう指導をしているが、国内には機会が少なく、今後GSLへの参加も視野に入れられるだろう。
日本の中高生は発表前日、リゾート・ワールド・セントーサ(RWS)にある世界最大級の海洋水族館シー・アクアリウムへ。バックヤードなど一般非公開の場所も見学し、スタッフから魚のエサの種類や生態などについて英語で学んだ。
昼食はマレーシア料理で異国の食文化に触れたほか、隣接するユニバーサル・スタジオ・シンガポールでの自主研修も実施。夜は夕食を兼ねたネットワーキングセッションが行われ、各国の学生と英語で交流を深めた。
日本からの参加校は、茗渓学園中学校高等学校(茨城県)、広尾学園(東京都)、立教池袋中学校・高等学校(東京都)、静岡県立富岳館高等学校、池田中学・高等学校(鹿児島県)など9校。なお、GSLは昨年に引き続き、RWSを運営するゲンティン・シンガポールの協力の下、実現に至った。
【2015年9月21日号】
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