PTA特集
交通安全やネットのマナー向上
地域で関係団体と連携も

佐野元彦会長に聞く <全国高等学校PTA連合会>

佐野元彦会長 <全国高等学校PTA連合会>

(一社)全国高等学校PTA連合会(=高P連)は8月19日から21日まで、「第65回全国高等学校PTA連合会大会」を岩手県で開催する。佐野元彦会長に今年度の取組について聞いた。(以下・談)

 ■地域で連携し交通安全デーを

 高P連では昨年度からの継続事業として今年度も、「自転車・バイク・歩行者のマナーアップ運動」、「インターネットリテラシー向上のための取組」、「薬物乱用防止に向けた取組」などに力を入れて参ります。

 6月1日から改正道路交通法が一部施行されたのを受け、自転車をはじめ交通安全の意識を高める必要があります。高校生は登下校に自転車を多く利用するので、高P連は事故を起こした場合に備え賠償責任補償制度への加入を勧めており、平成26年度は約118万人の高校生が加入しています。

 同時にマナーアップ教育を進めていきますが、高校生だけに交通安全指導を行うより、日本PTA全国協議会や各団体と連携して交通安全デーを設けるなど地域全体が連携すれば、より高い効果が上げられるでしょう。高P連から呼びかけを行ってまいります。

 ■ネット利用の自覚を促す

 高校生の多くがスマートフォンを持ち、LINEで連絡を取り合っていますが、インターネットリテラシーで大切なのはルールづくりです。大人が押し付けたルールではなく、高校生ともなれば自発的に決めることが理想的です。生徒会が率先して自分たちの学校のルールを決めている例もあり、学校・PTA・生徒会の代表が話し合う機会を設ければ、そうしたケースが増えてくるのではないでしょうか。自分たちで決めたルールだからこそ守ろうという気持ちが生まれるはずです。

 ■親子で政治を話す機会

 公職選挙法改正により70年ぶりに選挙権の年齢が引き下げられ、18歳以上が投票できるようになりました。これは親子で政治について話し合う良い機会ではないでしょうか。学校で政治や選挙について教えますが、実際の選挙は地域の問題が関わります。自分の一票が地域にどう関わるのか、そこまで踏み込んで教えるのは家庭の役割です。高校生の勉強を見てあげる日本の親はアメリカに比べて3分の1という調査結果があります。来年の参院選までに話し合えるよう、保護者が率先して政治について学ぶべきです。

 ■入試改革に親の声を届ける

 大学入試制度改革は単に入試の内容を変えるのではなく、高大連携を考え高校や大学の教育改革を進めるものです。

 私も高大接続システム改革会議に参加し、PTAが教育改革に何を求めるか、アンケートによる意見を汲みあげて提案していきます。学習到達度を測定する「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を高校の段階で実施することが検討されていますが、在学中計4回の実施予定ですので、適正な検定料もアンケートを通じて確認したいと思います。

 ■高校中退者の受け皿を

 高P連には単位制高校も加入しており、不登校になった生徒が高校を卒業できるよう取り組んでいます。高校を中退した生徒が再び学ぶことができる受け皿を作ることが求められます。

 今の社会では高校を中退した生徒に対して手が差し伸べられる機会が少なく、将来の希望を見出せずに引きこもりやニートになる現状を見るにつけ、復学を希望する生徒を戻せるシステムが必要だと感じます。

 ■大会で「防災教育」テーマ

 今年度の全国大会は震災後初、被災地岩手県で開催します。特別第2分科会では「防災教育・復興教育」がテーマです。岩手大学地域防災研究センターや県立高田高校などから講師を迎え、被災した経験から事例を紹介するとともに、命を守るためにどのような行動をとるべきか意見を交わします。

【第65回岩手大会】

 第65回全国高等学校PTA連合会大会は「未来圏からの風をつかめ!」をメインテーマに岩手県盛岡市、滝沢市の各会場で開催。20日は開会式、基調講演、研究発表、分科会、21日は記念講演と閉会式。分科会テーマは、第1分科会:学校教育とPTA、第2分科会:進路指導とPTA、第3分科会:生徒指導とPTA、第4分科会:家庭教育とPTA、特別第1分科会:情報化社会と教育、特別第2分科会:防災教育・復興教育▼詳細=taikai.iwateken-koupren.org/

 

【2015年8月17日号】

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